yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「定義されるか,定義されないか」と「真か偽か」はどういう関係なのか?

探求モードに入ってしまいました(笑)logを使って,「定義されるされない」と「真偽」について,考えてみようと思います. (1)は,前に書いた通りです. ☟真・偽は必ず判定できるとは限らない! - yoshidanobuo’s diary私は「命題でない」が正解だろうと思…

真・偽は必ず判定できるとは限らない!

「私はカッコイイ」 は真か偽か?私は「真」だと思っているが,「偽」だという人が存在しないとは言い切れない.きっと居ないだろうが,それを証明できないので,判断できない.もう少し正確に言っておこう. すべての人は,「私のことをカッコイイ」と思う …

複素数平面の問題を作ってみましたが,どうでしょう? ②

今回も複素数の4つの観点 ① 実部・虚部の計算 ② 絶対値・共役の性質 ③ 極形式の利用 ④ 幾何的な考察 を思い出しておきます. ※z=x + yiの共役複素数(x-yi)を,この記事では[z]と表すことにします. |[z]|=|z|, arg[z]=-arg z です.特に, 1 / z=[z]…

収束する数列のn項の平均は,同じ極限値に収束する

なんか,収束ばかりやっていますね. 「収束は常に証明すべきだ!」 という意識が大事だと,私は思っています.だから,収束の証明にこだわるようにしています.とは言っても,「大人の定義」ベースで高校数学ではないのですけど・・・どうぞお付き合いくだ…

ジュニア広中杯・初等幾何の問題を,初等的にやってみよう ②

先日の2020年ジュニア広中杯の問題で三角形の形状を特定してみようとしたら,なかなか面白かった! 答えは,5:7:6(順番を変えて5:6:7にすれば良かった・・・失敗) 真ん中にある円をどう見るか? まず,△PQRの内接円であると見ることができます.…

収束する数列の和は,極限値の和に収束する

数学を教える仕事を長くやってきたので,ちょっとは分かりやすく説明できるようになっているかな?という検証です(笑) 内容としては,これまでにもブログで2回紹介した,高校数学とは違う,大人の定義の活用についてです.「収束」を雑に扱ってはならない…

2直線が平行とは・・・方向ベクトルが平行?

直線l,mの方向ベクトルとして u=(1,2,-1) v=(a^3-2a^2+2,a^3-3a^2+a+3,a^3-2a) をとることができます. mの方向ベクトルにおいて,「x成分の2倍がy成分と等しい」ことが必要だから 2(a^3-2a^2+2)=a^3-3a^2+a+3 a^3-a^2-a+1=0 (a+1…

ジュニア広中杯・初等幾何の問題を,初等的にやってみよう

2020年のジュニア広中杯の問題です. さて,「あること」って,何なんでしょう?謎のヒント,「○い●ん」とは?? キーワードは相似,相似比です.色んな解き方がありますから,考えてみてください.ここでは,できるだけ鮮やかに解くことを目指します! とい…

こんな問題を作ってみたんですけど,どうでしょう? ③

2次関数などで同じような問題を解いたことはあるのではないかと思いますが,3次関数になっても解けるでしょうか? 同じようなセリフを何回も書いてますな(笑) 今回は,関数を合成してみました.初見だと,ちょっと戸惑わないですか? 正解は,【a>0,b…

2 / 13 = 0. 1538461538461538 ‥‥から

お世話になっている出版社「現代数学社」の雑誌「現代数学・2020年10月号」に載っていた問題を見て考えた(思い出した)ことがあるので,ちょっと書いてみます. 中学入試算数の元ネタになることもある,整数・分数・小数の性質です. (1) 0. 38461538461538…

灘中算数の問題に大人の武器を用いて挑んでみた

中学入試算数って,○○算が幅を利かせる世界だと思っていませんか?実はそんなことはなくて,解法当てはめで解ける問題ばかりではありません.(中学の難易度によって違いますけど,灘中ではそんなほとんど問題は出ません) 思考と工夫で乗り切るパズル的な問…

こんな問題を作ってみたんですけど,どうでしょう? ②

2次関数などで同じような問題を解いたことはあるのではないかと思いますが,3次関数になっても解けるでしょうか? 前回も同じようなセリフを書いたような(笑)「漸近線に注目したら,d もすぐに分かる」という別解をいただき,悔しいので同じような問題で…

こんな問題を作ってみたんですけど,どうでしょう?

2次関数などで同じような問題を解いたことはあるのではないかと思いますが,2次曲線になっても解けるでしょうか? 小難しい数学の理論を知っている子ではなくて,こういう問題にしっかり挑める子を育てたい,というのが私の思いです. 正解は,a<0,b<0…

z^3 の偏角が,z の偏角の3倍だと思っていませんか?

ド・モアブルの定理で,特に n=3 のとき, (cosθ+i sinθ)^3=cos(3θ)+i sin(3θ) z=r(cosθ+i sinθ) (r>0)とおくと, z^3=r^3 {cos(3θ)+i sin(3θ)} だから, z^3 の偏角は 3θ ‥‥(*) ですね. と,思いきや・・・ (*)は本当に正しいですか?? 偏角の…

ぽっこりカワイイ曲線の漸近線を求めるのは楽ではない ③

『曲線 x^3+y^3-1-xy=0 の漸近線 3x+3y+1=0 を如何にして求めるか?』シリーズの最終回です. 図を見てください. ぽっこりカワイイ曲線は,45°回転すると,真横を向いたポッコリ曲線に変わりそうです.では,回転はどうとらえましょう? 点P(p,q)…

ベクトルって係数比較できるんでしたよね?

ベクトルって,図形的センスがなくても計算で図形問題が解けるようになる,魔法の道具です. ※今回は,略記として,「ベクトルAB」を(AB)と表すことにします. 例えば三角形PQRの垂心H.外心Oを始点にすると, (OH)=(OP)+(OQ)+(…

このグラフが好きなんですよねぇ

x=0 の周辺で,どこまでも周期を短くしながら振動.しかし,-x≦y≦x の外には出られない.この領域をほぼ埋め尽くすかのごとく,激しく振動します.とはいえ,各 x に対して1点ずつしかグラフ上の点は無いので,拡大すると実はスカスカ. x=0のときのy=0と定…

花子と花見,七五三 これを見て,三角形を連想する人は,マニアさん(笑)

どうやって解きましょう?三角比を使って考えたりもできますし,同じ形をくっつけて真ん中に1辺が2の正三角形を描いてみたり,色々と考えられそうです. ここでは,60°と7から,「花子と花見」を連想したとします.ついでに,「七五三」も.「8・7・5」「8…

複素数平面の問題を作ってみましたが,どうでしょう?

苦手な人が多い複素数平面.図形と代数の組合せという意味ではベクトルと近いですが,計算の意味をイメージするところがベクトルよりも難しいです.ベクトルも難しいのに,それよりも難しいなんて・・・という印象なのではないかと思います. 一番の特徴は,…

大人の「収束の定義」 イプシロンεを使うヤツ ②

【大人の「収束の定義」 イプシロンεを使うヤツ】では,「αに収束」の定義を,「“αに収束”でない」から論理を使って構築しました.写真の中央部です.これを日本語だけで書くと,一番下のようになります.イメージ湧きにくいかも知れません・・・本当は図を…

2000年前のサイコロとは?

いつもがっつり数学ですが,今回は,ちょっと数学に絡むけれど,ほぼ雑談のような内容です.唐突ですが,いまから2000年ほど前,古代ローマ・ギリシャの時代には,6面体サイコロが存在していたのをご存じですか? 動物の骨・角だったり,ガラスだったり,青…

大人の「収束の定義」 イプシロンεを使うヤツ

1つ目の問いの答えは②です.この書き方は,教科書的には認められないものです.(習慣的に書いている人も多いでしょうし,入試答案で減点されるとまでは言えないと思います.教科書には書かれることはない,ということは確かです) さて,「αに収束する」の…

高校数学教育者には,ぜひ,知っておいてもらいたい!「多項式」と「多項式関数」の区別 ②

この内容は,「教科書」から読み取った内容で,私の考えというわけではありません.「ホント?」と思われるところがあると思いますが,私の書いたことを踏まえて教科書をぜひ見返してください!おそらく分かっていただけると思います(教科書の言いたいこと…

ぽっこりカワイイ曲線の漸近線を求めるのは楽ではない ②

唐突ながら, “極限”+“不等式”=“ハサミウチ” ですね! さて,もともと,「式だけで漸近線を求める」という課題でしたから, 「図より,漸近線は 3x+3y+1=0 である」 というのは,今回は避けることにします. ちなみに,k の範囲は 1)曲線の式に,x+y…

高校数学教育者には,ぜひ,知っておいてもらいたい!「多項式」と「多項式関数」の区別

「2次式」と「2次関数」.実は違うのですけど・・・違いは説明できるでしょうか? まず,「関数」とは? x を代入して y を得るルールのことx に代入できる数全体の集合のことを,「定義域」と呼んでいます.「数列」を関数と見るときは,定義域は「自然数…

ぽっこりカワイイ曲線の漸近線を求めるのは楽ではない

図を見ると漸近線は存在しそうですが,式だけで考えるとなるとなかなか大変です.任意にxを固定すると,yは必ず実数として(少なくとも)1つ存在することは分かります.y=f(x)という形で表された曲線で漸近線を考えることはありますが,F(x,y)=0 表示…

高校入試を大人の力で瞬殺(笑)

さて,何をやったでしょう?黄金比とその共役のセットなので,イヤでも「アレ」を連想させます. とりあえず,思わせぶりな文字fを用いて, f_n=(x^n-y^n) / (x-y)により数列{f_n}を定めます.求めたいのは f_4×f_5です.知識としては f_1=f_2=1, f_(n…

式の呼び名について

今回は「式の呼び名」というニッチなところにフォーカスしてみたいと思います. ①2x+3は,「1次式」「1次の整式」 ②y=2x+3は,「1次関数」(直線の方程式) ③2x+3=1は,「1次方程式」 ④2x+3>1は,「1次不等式」 と呼ばれます.それぞれにおいてxは ①不…

重心とベクトル 「重りをどう分割するか?」で色んな見方

空間ベクトルによる点の表現の理解を少しでも深めてもらえたらと思います.重心を使ったアプローチです.「係数の和=1」の意味も合わせて確認していただければと思います. 左上の図のように,四面体の4頂点にそれぞれ13,4,4,4の重りを置きます.…

統計なんて数学じゃない,と思っている方へ

これからの高校数学関係者,統計のできる人がこれから生き残れる人になるはず!純粋に「統計」ができるというだけではなく,「他分野との融合」もできる人です.融合の最も基本的なものは,数列の和の計算でしょう.何らか確率変数の期待値や分散と「解釈」…