1つ目の問いの答えは②です.
この書き方は,教科書的には認められないものです.
(習慣的に書いている人も多いでしょうし,入試答案で減点されるとまでは言えないと思います.教科書には書かれることはない,ということは確かです)
さて,「αに収束する」の否定を厳密に述べたものが分かりました.
これを否定したら,「αに収束する」の定義になります.
否定の基本:
①すべてのAで,Pが成り立つ
(否定)↓↑(否定)
Pが成り立たないようなAが存在する
(あるAで,Pが成り立たないものが存在する)
②P→Qが真である
(否定)↓↑(否定)
反例(Pを満たすがQを満たさないもの)が存在する
●「αに収束する」の否定●
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ある正数εで,(*)を満たすものが存在する.
(*)任意の自然数Nに対し,「n>Nかつ|a_n-α|≧ε」となる自然数nが存在する
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これを否定しましょう!
それが,「αに収束」の定義です.
●1段階目●
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すべての正数εに対し,(*)でない.
(*)任意の自然数Nに対し,「n>Nかつ|a_n-α|≧ε」となる自然数nが存在する
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〇「(*)でない」とは?〇
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ある自然数Nで,『「n>Nかつ|a_n-α|≧ε」となる自然数nが存在する』でないものが,存在する
+++++++++
〇『 』でないとは?〇
+++++++++
【「n>Nかつ|a_n-α|≧ε」となる自然数n】は,【P⇒Q】の反例.
P,Qとは?
P:n>N Q:|a_n-α|<ε
『【P⇒Q】の反例nが存在する』でない,とは
【P⇒Q】が真である
ということ.
+++++++++
以上から,次のようにまとめることができます.
●2段階目●
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すべての正数εに対し,
ある自然数Nで,
【n>N ならば |a_n-α|<ε】が真
であるものが,存在する
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頑張って直接説明すると
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「限りある近づき」の1つの基準としてεという数を,任意に(どれだけでも小さく)とっても,
ある番号N以降のすべての項a_n (n>N)について,a_nの値とαの誤差がε未満となる.
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です.
「どんなεについても」なので,「どこまでも限りなく近づく」という直観を表現するものになっていそうです.
これを大学の数学の授業でパッと与えられ,混乱してしまう人が多いようです.
まぁ,この記事の説明でしっくりくるかどうかと言われたら・・・
なかなか難しいですよね.