なんか,収束ばかりやっていますね.
「収束は常に証明すべきだ!」
という意識が大事だと,私は思っています.
だから,収束の証明にこだわるようにしています.
とは言っても,「大人の定義」ベースで高校数学ではないのですけど・・・
どうぞお付き合いください.
大学教科書の演習レベルです.
授業で言うか言わないかは別として,大人は,εを使った論法も使えるようにしておいた方がよいのだろうと思います.
思い出していただくキッカケになれば嬉しいです.
分かりやすく説明できるか!?
a_n / n → 0 (n→∞)だから,「0+0+‥‥‥+0=0に収束」
というのは間違いですよ!!
個数も∞になりますからね.
途中からは “ほとんどαの項” ばかりが並ぶわけだから,
それ以前の “αから離れた項” たちと分離しちゃえば良いのです.
離れた項たちは有限個しかないから,その和をnで割ると,0に収束します.
これを正しく表現するために,まずは,懲りずに復習から.
「数列{a_n}が実数αに収束する」とは,
*******
どんな小さな正数εを固定しても,十分大きいnについて,“常に”
|a_n-α|<εが成り立つ
つまり,
どんな小さな正数εを固定しても,ある大きな自然数Nが存在して,
n>Nとなる“すべてのn”について,|a_n-α|<εが成り立つ
*******
ということ.
今回は,“平均”の収束について.
*******
数列{a_n}がαに収束するとき,
lim (a_1+‥‥‥+a_n)/n =α
*******
厳密にやると少し退屈だと思うので,言語ベースで書いていこうと思います.
<証明>
任意に,小さい正の数εを固定します.
十分大きいn(つまり,n>N)で常に
|(a_1+‥‥‥+a_n)/n -α|<ε
となることを示せばOK(Nの存在を示す).
数列{a_n}がαに収束するとき,十分大きいnで常に
|a_n -α|<ε/ 2 ☜敢えてε/ 2 にしています!
が成り立ちます(つまり,n>Mで常に不等式が成立,となるMが存在).
つまり,
|a_(M+1) -α|<ε/ 2,|a_(M+2) -α|<ε/ 2,‥‥‥
です.
Mは大きい自然数という設定ですが,大事なのは,定数であるということ.
特に,
n→∞ のとき, M/ n→0
など,極限をとるときには単なる定数です.
これで準備完了.
「十分大きいn(つまり,n>M)で常に
|(a_1+‥‥‥+a_n)/n -α|<ε
となる」を示しましょう!
nをどこまでも大きくするので,nはMよりも大きいときを考えれば十分です.
|(a_1+‥‥‥+a_n)/n -α|
=|(a_1-α)+‥‥‥+(a_n-α)}|/n
=|{(a_1-α)+‥‥+(a_M -α)+(a_(M+1) -α)+‥‥+(a_n-α)}|/n
☝
Mの前後で分割!
<|(a_1-α)+‥‥+(a_M -α)|/n
+{|a_(M+1) -α|+‥‥+|a_n-α|}/n
<(定数)/ n+(n-M)ε/ 2n
<(定数)/ n+ε/ 2
(定数)/ n→0 (n→∞のとき)だから,十分大きいnで(つまり,n>M’で常に)
(定数)/ n<ε/ 2
が成り立ちます(ようなM’が存在する).
Nとして,MよりもM’よりも大きい自然数をとると,n>Nのとき,常に
|(a_1+‥‥‥+a_n)/n -α|
<(定数)/ n+ε/ 2 <ε/ 2+ε/ 2=ε
が成り立ちます.
これが証明したいことでした. (証明おわり)
やっぱりややこしいですね・・・
頑張って分かりやすく書いたつもりですが,いかがでしょう?
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