yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「和と一般項の関係」を誤認してみたら

以下の記述,どう思われますか?明らかに間違っているのですが,どこがおかしいのでしょう? 和を考えるとき,ある決まった1つの数列 { a_n } : a_1,a_2,a_3,a_4,‥‥‥ で前から順に足していった和は数列で { S_n } : a_1,a_1+a_2,a_1+a_2+a_3,a_1…

僕の好きなグラフの仲間が,高校数学の根幹を揺るがす?

赤いグラフを表す関数は,高校数学の根幹を揺るがすような危険なグラフです.ちょっと説明してみます.その前に,右下にある青い方のグラフ.僕の好きなもので,関数 f ( x )=x sin ( 1/x ) ( x ≠ 0 ) , f ( 0 )=0 のグラフです.x=0 の周辺で無限に激し…

こんな和の公式,覚えられるわけがない!

何とコレ,予想通り等差数列の和の公式なのですね.より詳しく言うと,等差数列の和も計算できる公式. 意味を説明していきます. ※「aとdの定義を書いていないから,問いとして不成立」というご指摘はナシでお願いします. それにしても,意味不明ですよね…

y=sin x を2方向に回してみた

波の形 y=sin x を回転させてみましょう! 「x 軸」のまわりに回転させたら,「お団子が無限に連なる」ような形に. 「y 軸」のまわりに回転させたら,「同心のドーナツが大きくなりながら無限に連なる」ような形に. どっちも美味しそうですね(笑)「せっ…

回転体の方程式を求めたい!

y=f(x)のグラフを,x 軸の周りに1回転して得られる曲面Sの方程式は? 半回転すると,曲線 y=-f(x) で,2つを合わせたら 曲線C:y^2={f(x)}^2になる. ここから「軌跡」の考え方です. 曲面S上に点 (x,y,z) がある ⇔ C上の点 (x,p,0) で,p^2=…

n進法と組立除法

不勉強のため,メジャーな方法なのかどうか分かりません・・・たまたま見かけた解法の紹介です. 5進法の 4321 は,10進法で 4×(5の3乗)+3×(5の2乗)+2×5+1これを計算するのに,4次式 f(x)=4x^3+3x^2+2x+1を考えると,求める値は f(5) になっている!f…

極値の定義,ご存じですか? =大学・高校の違い&高校教科書間の違い=

図の2つは「x=0で極小値-1」と言ってよいのでしょうか? 判断に困ったら定義を参照します! あるx=aでの値f(a)が極小値であるとは・・・ ①aを内部に含むある区間において「f(a)<f(x)」が成り立つことをいう. ②f(x)がx=aの前後で,「減少から増加に転じる…

漸化式でやれることは微分方程式でもやれる?

微分方程式は,好きですか? 導関数と元の関数が満たす関係式を見て,どんな関数なのかを考えるのですね. 導関数は lim(f(x+h)-f(x))/h ですから,差をとっているのですね. 階差数列みたいなものなのですよね. 関数での微分が,数列での階差 数列での和は…

漸化式から一般項を求めることに関して

☝ 【 レ ア 解 法 ? 】 階差数列の一般項を求めたのに,Σしないとか,カッコよくないですか? 1つの数列を決める漸化式は1つではなく,漸化式2つがあれば,連立して一般項を求めることができる. この視点は,けっこう優れていますよね. さて,漸化式の…

極値は,「yの値である」のか,「点に付随するもの」なのか

私の答えは,①のみ△,②③は×です. ②③のような文を見かけることがあって,それがダメな理由を如何に説明できるか,と考えました. <①②③の主張の根拠> 1)この関数は,x=0,-1,1でy=0という値を“とる”ことが分かります. 2)x=-1で極大値0,x=1で極小値0で…

負の数だって,相加相乗平均の大小関係(完結編)

上の四角には何が入るでしょう? (a,b,cは実数) 3文字での相加相乗平均の大小関係: ( a + b + c )/3 ≧ (abc)^(1/3) ‥‥‥(*)について,負の数を代入しても,不等式が成り立つことがあることを前記事で確認した.どんなときに成り立つのか?少し深堀してみ…

関数・方程式,グラフ・曲線・・・ 用語の使い分けがヤヤコシイ

☝ この文は,とっても深い深いものですが,伝わるでしょうか?? 指導者が雑な用語の使い方をするから,生徒は混乱しているのかも知れませんよ. そういう文章を見ることって多いですもんね. 関数・方程式,グラフ・曲線・・・ 教科書を読んでいると,色ん…

負の数だって,相加相乗平均の大小関係

(a+b)/2≧√(ab) ‥‥‥① という有名な不等式があります.左辺・右辺がそれぞれa,bの,相加平均・相乗平均と呼ばれるので,「相加相乗平均の大小関係」などと呼ばれます. 左辺はどんな実数でも定義されますが,右辺はabが0以上のときしか定義できません. 不等…

オンライン授業記録2

(長文注意,しかも乱文・・・) 数Ⅱ図形と方程式がテーマ. 文字が入った円らしき方程式 (1)円になる条件 (2)円のときの,中心の軌跡 という問題を扱うことに(詳細掲載は自粛). 1日目実施後の勉強会で,「対話」について考えていた. 「沈黙」で…

オンライン授業記録1

初の大人数オンライン講義でした. 多くの高校生が受講してくれていました(残念ながら,生徒の顔はまったく見えない仕様です). Zoomのような「チャット」と「なるほど!・う~ん」ボタンがあるので,ある程度の双方向授業ができました. 〇良かったこと: …

1次元ベクトルを考えると,正射影ベクトルが分かりやすいと思う件

「内積は正射影だ」なんて言われることがあります. 正射影ベクトルの公式: (ベクトルAC')={(AB,AC)/|ベクトルAB|^2}×(ベクトルAB) を丸暗記させること,ありませんか? 私がどういう解釈をしているか,まとめてみようと思います. 平面内に,同一直線上…

1次元のベクトルを考えたら良いのではないか?

高校数学のベクトルでは, 「平面上のベクトル」と「空間上のベクトル」 は考えるが, 「直線上のベクトル」つまり「1次元のベクトル」 は考えないようだ. 1次元のベクトルとは? 直線上に2点A,Bをとって,有向線分ABを考える. 2,3次元と同じく,有…

「思考・判断・表現シリーズ(東京出版)」の数B,数IIIの執筆を始めます!

これまでに,思考力・判断力・表現力をテーマに,数学IA,数学IIの問題集を書いてきました. いまから数学B,数学IIIの執筆をやっていこうと思っています. 数IAは「ほぼ計算不要の」 数IIは「ちょっと計算も必要な」 というワードをタイトルに入れてきまし…

「大学への数学」9月号 「積分は,やりたくないねん」の記事掲載のお知らせ!

こんにちは,吉田です. 梅雨が明けて異常に暑いですが,涼しくなるかも知れない(?)報告です. 8月後半に発売になる「大学への数学・9月号」に私の記事が掲載されます. 「積分したくないねん」という内容で,2020年の阪大,北大の問題を通じて,積分そ…