yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

y=sin x を2方向に回してみた

波の形 y=sin x を回転させてみましょう!

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「x 軸」のまわりに回転させたら,「お団子が無限に連なる」ような形に.


「y 軸」のまわりに回転させたら,「同心のドーナツが大きくなりながら無限に連なる」ような形に.


どっちも美味しそうですね(笑)
「せっかくなので式で表そう」というのが,今回の企画です.

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前記事で,この理論を,軌跡でガチガチに説明しました.

改めて,少しゆるく説明してみます.

 

グラフ上の点(k,f(k),0)を x 軸のまわりに1回転すると,次の円が得られます.

  y^2 + z^2 = { f(k) }^2 かつ x = k

このような円をあらゆる k について集めたものが回転体.

  {(x,y,z)| y^2 + z^2 = { f(k) }^2 かつ x = k }

つまり

  {(x,y,z)| y^2 + z^2 = { f(x) }^2 }

よって,回転体の方程式は 

  y^2 + z^2 = { f(x) }^2

です.

だから,機械的にやると,

  | y | を f:id:phi_math:20200828103611p:plain に書き換える


ということになるのでした.
絶対値だから0以上の値でないといけないのでした.
だから,y = f(x) ではなく,半回転して得られる曲線と合わせた曲線

  y^2={ f(x) }^2

を利用して,置き換えるのでした.

結局,x軸のまわりの回転で得られる「無限お団子」の方程式は


  y^2+z^2=(sin x)^2


となります.

 

では,y軸のまわりだったら?

  | x | を f:id:phi_math:20200828103625p:plain に書き換える

だけでOKです.

けれど,実際にやってみると,絶対値を作り出すのがメンドクサイことに気付きます.

sin x は sin(-x) = -sinx という特殊な性質があるので,比較的楽に処理できて,

  y^2=(sin { f:id:phi_math:20200828103625p:plain })^2 ‥‥①


という形にまとめることができます.

詳細は,ぜひ,考えてみてください.

 

①の式が,無限に連なるドーナツを表しているなんて,なかなかイメージできないですね.
「式の意味的にそうなっているのだから,そうなんだろう」という達観した視点も,数学においては必要になりますね.