yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

こんな和の公式,覚えられるわけがない!

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何とコレ,予想通り等差数列の和の公式なのですね.
より詳しく言うと,等差数列の和も計算できる公式.

意味を説明していきます.

※「aとdの定義を書いていないから,問いとして不成立」というご指摘はナシでお願いします.


それにしても,意味不明ですよね(笑)

公式の意味を探るのに,シグマを消去してみましょうか.
和の数列{S_n}と数列{a_n}の関係
  a_1=S_1
  a_n=S_n-S_(n-1) (n≧2)
を使ってみてください.


計算は端折りますが,n=1のときとn≧2のときのそれぞれから,

  (a_(n+1))^2=(a_n+d)^2 (n≧1) ‥‥①

が得られます!

何と,等差数列の漸化式の両辺を2乗したもの!

しかし,①では数列は1つには定まりません.

“各 n について,”

  a_(n+1)=a_n+d または -(a_n+d)

が成り立つ数列なら何でも①を満たすからです.


例えば,a=1,d=2とします.


①を満たすような数列の1つに等差数列

  1,3,5,7,9,11,13,15

がある,ということ.
“すべての n ”で
  a_(n+1)=a_n+2
になるものです.


“すべての n ”で
  a_(n+1)=-(a_n+2)
となる数列もあって

  1,-3,1,-3,1,-3,1,-3

です.これも①を満たしています.


それ以外にも①を満たす数列はあります.

例えば,

  1,3,-5,-3,1,3,5,7,-9

です.
  a_2=a_1+2
  a_3=-(a_2+2)
  a_4=a_3+2
  a_5=-(a_4+2)
  a_6=a_5+2
  a_7=a_6+2
  a_8=a_7+2
  a_9=-(a_8+2)
とランダムに“各n ”でどちらかの関係が成り立っています.
次の数は,
  7 または -7
です.
この数列でも,和の公式を使って足し算できるはずです!

  1+3+(-5)+(-3)+1+3+5+7+(-9)=3

が公式でも求まるか?

「理論上は,求まるはず!」と思っても,ドキドキします.

   {(±7)^2-1}/4-2×9/2
  =48/4-9=12-9
  =3

確かに!!

「絶対にこうなる」と思っていても,本当にそうなると嬉しいものです!
そんな爽快感こそが数学の醍醐味でしょうね.