チェビシェフの多項式T_n(x)は,
x^k (k≧2)の項の係数は,2^(k-1)の倍数になる
のでした!
漸化式を用いて数学的帰納法で証明しましたが,別の方法も考えてみましょう.
ここで,複素数が再登場です!
T_6(x)=32x^6-48x^4+18x^2-1
を別ルートから考えます.
z^6+z^(-6)=(z+z^(-1))^6-6(z+z^(-1))^4+9(z+z^(-1))^2-2
と計算できたのですが・・・zに何を代入しましょうか?
z=cosθ+i sinθ
ではどうでしょう?
z^(-1)=(zの共役複素数)=cosθ-i sinθ
∴ z+z^(-1)=2cosθ
であり,
z^6=cos(6θ)+i sin(6θ)
z^(-6)=cos(6θ)-i sin(6θ)
∴ z^6+z^(-6)=2cos(6θ)
です.
ということは,
2cos(6θ)=(2cosθ)^6-6(2cosθ)^4+9(2cosθ)^2-2
となるのですね!
この状態での右辺は,(cosθ)^kの係数は2^kの倍数です!
両辺を2で割ると,T_6において,
x^k (k≧2)の項の係数は,2^(k-1)の倍数になる
と分かるのです.
ということで,一般的に言っておきます.
対称式の性質として,
z^n+z^(-n)
は,z+z^(-1),z×z^(-1)の多項式として表せます.
z×z^(-1)=1であるから,z+z^(-1)の多項式として表せるのです!
(帰納法で示せます)
だから,z=cosθ+i sinθを代入することで,z+z^(-1)=2cosθより
2T_n(cosθ)=f(2cosθ) 👈f(x)は係数が整数のn次式
となります.
よって,T_nにおいて,
x^k (k≧2)の項の係数は,2^(k-1)の倍数になる
と分かるのですね.
これで,かなりスゴイことを示す準備が揃いました!
乞うご期待.
※私の書籍一覧もご覧ください※
☟