yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

空間内でのちょっと変わった方程式を考えてみました②

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前回の円について
  |x^2+y^2+z^2-1|+|x+y+z|=0
という書き方も可能,と友人からメッセージをもらいました.
確かに!

今回は最初から()^2+()^2=0の形にしておきました.
これが表す図形は,

  x^2+y^2=z^2 と y+z+1=0

の共通部分.
2つ目は平面を表していますが・・・

1つ目はいったい??

左辺は,円のような雰囲気です.
よく分からない図形は,断面を考えるに限ります.

例えば,z=1という平面での切断面は

  x^2+y^2=1 かつ z=1

で,中心が(0,0,1)で半径が1の円です.
z=-1でもほぼ同じですね.

z=2での断面は

  x^2+y^2=4 かつ z=2

で,中心が(0,0,2)で半径が2の円です.

半径がzの値と等しくなるようです.

ということは??

  x^2+y^2=z^2

は円錐を表しているようですね!
原点が頂点で,上下に,どこまでも続く円錐です.

また,平面x=0での切断面は

  y^2=z^2 かつ x=0

 ∴ (y=z または y=-z) かつ x=0

で,原点を通る傾きが±1の2直線です.
この直線をz軸のまわりに回転して得られる円錐ということもわかります!

  x^2+y^2=z^2 かつ y+z+1=0

は,円錐を,母線の1つ「y+z=0 かつ x=0」と平行な平面y+z+1=0で切った断面なので・・・

放物線になっています!

円錐を平面で切った断面は,一般に2次曲線.
今回はそれが放物線になります.

ちょっと式でもやってみましょうか.

x^2+y^2=z^2にz=-y-1を代入すると

  x^2+y^2=y^2+2y+1 ∴ 2y=x^2-1

「おっ!放物線!!」と思った人,ちょっと先走り過ぎです.

正確に説明します.

  x^2+y^2=z^2 かつ y+z+1=0

 ⇔ 2y=x^2-1 かつ y+z+1=0

と意識しましょう.
空間図形の方程式として,

  2y=x^2-1 …①

は放物線ではないのです!

  {(x,y,z)|2y=x^2-1}

ですから,z=kの平面での切断は,ぜんぶ同じ形の放物線なのです.
だから,①が表すのは,

  放物線“柱”

です!
その底面が,

  2y=x^2-1 かつ z=0

です.

その放物線柱を平面y+z+1=0で切断して得られる放物線が,今回のこたえ.

  (円錐を平面で切った図形)

 =(放物線柱を平面で切った図形)

 =(放物線)

ということ.
放物線柱を斜めに平面で切って得られる放物線.
その放物線を,xy平面に正射影して得られる放物線が

  2y=x^2-1 かつ z=0

です!

空間も,式で捉えられるようになると,案外,見えるものかなと思います.

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