yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

「和と一般項の関係」を誤認してみたら

以下の記述,どう思われますか?
明らかに間違っているのですが,どこがおかしいのでしょう?

 

f:id:phi_math:20200831172221p:plain

 

和を考えるとき,ある決まった1つの数列

 { a_n } : a_1,a_2,a_3,a_4,‥‥‥

で前から順に足していった和は数列で

 { S_n } : a_1,a_1+a_2,a_1+a_2+a_3,a_1+a_2+a_3+a_4,‥‥‥

という数列になります.

 S_1=a_1,S_2=a_1+a_2,S_3=a_1+a_2+a_3,
 S_4=a_1+a_2+a_3+a_4,‥‥‥

 です.

一方,冒頭の和は,足されるものの中に個数の n が含まれています.
だから,「1つの決まった数列で前から順に足している」のではないことが分かります.

・n=1のとき,1(1-1)

・n=2のとき,1(2-1)+2(2-2)

・n=3のとき,1(3-1)+2(3-2)+3(3-3)

・n=4のとき,1(4-1)+2(4-2)+3(4-3)+4(4-4)

決まった数列の和を2つ考えるときに,各 n についての和が等しいなら,元の数列もまったく同じ数列です.

微分積分の関係に似ています)

 

しかし,決まった数列の和ではないとき(足すものの式に n が入っている)ときは,そうはいかないようです.

((∫[0,x] (xーt)dt を x で微分して,「x-x」としてはならないのと同じ!)

 

「区分求積」が「無限級数」だと思っている人も,注意しておいてくださいね(笑)