yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

関数・方程式,グラフ・曲線・・・ 用語の使い分けがヤヤコシイ

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この文は,とっても深い深いものですが,伝わるでしょうか??

指導者が雑な用語の使い方をするから,生徒は混乱しているのかも知れませんよ.

そういう文章を見ることって多いですもんね.


関数・方程式,グラフ・曲線・・・

教科書を読んでいると,色んな表現が出てきます.
とってもヤヤコシイ・・・

関数y=x^2
関数y=f(x)
関数f(x)=x^2

関数y=x^2のグラフ
関数y=f(x)のグラフ

曲線の方程式y=x^2
曲線の方程式y-x^2=0

放物線y=x^2
放物線y-x^2=0


ザっと整理してみますが,おかしなところもあるかも知れません.

★関数★
入力値に対して出力値を1つ決める対応fのこと.
入力値をxとするとき,出力値をf(x)と書く.
それが式で書けるとき,f(x)と書く.
出力値を別の文字で置くと,y=f(x)やy=x^2と表す.

★グラフ★
関数f(x)に対して定義される曲線,
つまり,点集合{(x,y)|y=f(x)}

★曲線★
高校数学でどう定義しているか,不明・・・
とりあえず,1次元の図形になるような点集合
{(x,y)|何らかのx,yの関係式}

★曲線の方程式★
曲線{(x,y)|何らかのx,yの関係式}の「何らかのx,yの関係式」のこと.
これが関数の形y=f(x)で表される必要はない(表されても良い).

× y-x^2=0のグラフ
〇 曲線y-x^2=0
〇 曲線y=x^2
〇 円x^2+y^2=1
× x^2+y^2=1のグラフ
〇 y=(1-x^2)^(1/2)のグラフ
〇 円の方程式はx^2+y^2=1
〇 放物線の方程式はy=x^2

<参考>
y=f(x)のように,yがxの式として明示されているとき,陽関数として表示されている,と言えます.
一方,x^2-y=0は陽関数表示ではないですが,y=x^2と同じ意味です.こういうのは,「表立っては関数の形になっていないが,実際は関数になる」という意味で,陰関数として表示されている,と言えます.
さらに,円x^2+y^2=1は,2つの関数y=(1-x^2)^(1/2),y=-(1-x^2)^(1/2)のグラフの和集合になっています.そういう意味で,円上の各点(x,y)については,yはxと関係があって,関数が隠れている,と考えられます.
こういうのも陰関数表示と言えます.
陰関数でグラとは言わないのかな,と思います(曲線と言う方がよい?).