yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

負の数だって,相加相乗平均の大小関係

  (a+b)/2≧√(ab) ‥‥‥①

という有名な不等式があります.左辺・右辺がそれぞれa,bの,相加平均・相乗平均と呼ばれるので,「相加相乗平均の大小関係」などと呼ばれます.

左辺はどんな実数でも定義されますが,右辺はabが0以上のときしか定義できません.

不等式が意味を成さないのは,「a,bが異符号のとき」です.

では,不等式が成立するのは,どんなときでしょう?

教科書には,「a,bが正のとき①が成り立つ」と書かれています.

a,bがともに負のときは,左辺が負で,右辺が0以上だから,①は不成立.

一方が0のときは?右辺は0になるから,他方が0以上のときに成り立ち,負のときは不成立.

これらをまとめると,①が(定義され,しかも不等式が)成り立つのは「a≧0かつb≧0のとき」となるのです.

教科書に書かれている範囲を含んでいますね.

 

では,3数についての相加相乗平均の大小関係は,どんなときに成り立つのでしょう?

  (a+b+c)/3≧(3)√(abc) ‥‥‥②

  ※右辺は3乗根

a,b,cが0以上のときは,②が成り立ちます.

②の右辺は,3乗根なので,どんなabcであっても定義されます.

先ほどの①よりも検討すべきものがかなり多そうです・・・

負の数が入っても,②が成り立つことがあります.

 

例えば,a=-1,b=2,c=5のときはどうでしょう?

右辺は負の数で,左辺は正の数だから,②は成り立ちます.

 

他には,a=-1,b=-1,c=8のときは,どうでしょう?

左辺は2で,右辺は,何と?こっちも6で,等号が成り立ちますね!

だから,②は成り立っています.  

 

では,a=-1,b=-2,c=4のときは,どうでしょう?

左辺は1/3で,右辺は2だから,②は成り立たないようです.

 

どんなときに②は成り立つんでしょうね.

分かった方,コメントにでもどうぞ.

 

数学Ⅱの,思考・判断・表現力を磨く本といったら,これしかないですね(笑)

自信作です!!

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