yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

オンライン授業記録2

(長文注意,しかも乱文・・・)

数Ⅱ図形と方程式がテーマ.
 文字が入った円らしき方程式
 (1)円になる条件
 (2)円のときの,中心の軌跡
という問題を扱うことに(詳細掲載は自粛).
1日目実施後の勉強会で,「対話」について考えていた.
「沈黙」で「縦の対話」を促し,そこで生まれるであろうモヤモヤを解消してあげるという,美味しいところは自分がいただくプラン.
単元的に「解法主義」に陥りやすいところなので,「1つ1つの定義をしっかり確認」していく流れに.
問題に入る前に30分くらい,事前説明(授業時間60分).
・y=(xの2乗)のグラフって,何?
 ↓
放物線,とか答えられるので,「y=(xの2乗)のグラフは,何?」ではなく,「(y=(xの2乗)の)グラフって,何?」が問いの意味だと,念を押す.
 ☟
もちろん,ちゃんと答えられないだろう,という想定.
・点集合がグラフであること,「点が動く」と考えたら「グラフ=軌跡」であることを確認.
・方程式は,対象となる点の座標が満たす関係式を,座標軸の文字(通常はx,y)で表したもの
 
・円の“方程式”を書いて,「これが何であるか?知識としてでなく,集合で説明できるか?」
 ☟
①の念押し
 
・円っぽいが,右辺が負になる例を見せ,何であるかを書かせる
 ↓
色々な答えが返ってくる
 ☟
認知がおかしなことになる子は居るな,と感じつつ・・・できるだけ誤答はフォロー
 ☟
「集合で言うと,こういうの何て言うか,分かるかな?」
空集合って言うんだよ」
空集合なんて,考えても意味ないと思ってなかった?そんなことはなかったね」
などと話し,「先生,カッコイイ」感を出す(笑)
・円っぽいが,右辺が0になる例を見せ,何であるかを書かせる
 ↓
これも色んな回答・・・
 ☟
誤答はできるだけフォロー
「中心が(-2,1)で,半径が0の円っぽいね.」
「でも,半径0のものは円とは言わないんだ」
「1点だけからなる集合=図形,だね」
 
実際の問題へ・・・(ここからは自粛)
・(2)で中心の座標は分かるかな?書いてみて
 ↓
「(-a,3a)」「(-a.3a)」「-a,3a」「-a」「x=-a,y=3a」・・・
 ☟
えっ・・・,こんな認識なの!?
「細かなダメだししたら,嫌がられるかな・・・」
「いや,今日のテーマは,「1つ1つの定義をしっかり確認」だ,スルーしてはならない!」
「座標は,“カッコの中に,数字を2つ書き,その間にカンマを書いたもの”であって,それ以外を座標とは決して言わないよ」
「x座標だけ→ダメ」
「カッコを書いてない→ダメ」
・・・・
「いくら問題が解けても,こういうのが分かってないと,会話が通じない人になってしまって,模試や大学入試での採点者には伝わらないよ.そもそも,答えろと言ったものを答えてないんだから」
「こういうのは,やっぱり,書いてみないと,ちゃんと分かっているかどうか見えないね」
「間違うことはぜんぜん恥ずかしくないから,どんどん書いてみて,先生に見てもらうと良いよ」
「ちゃんと定義が分かって,意味が分かって,問題を解けるようになりたいね」
なんていう感じでやってみました.
考える時間は,けっこう取ったつもりです.
 
扱う問題が少なく,細かい話ばかりしていたから,
「もっと問題をたくさんやって」
「解法を教えて」
とかいう感想があるかな,と思っていましたが,そうでもなかったです.
「グラフが集合とか,考えたことなかった」
「いざ,何?って聞かれると困る」
「座標の書き方,ちゃんとやらないといけないな」
という風な感想も(原文ではありません!).
高校生も
「本当のことを知りたい」
「ちゃんと分かって解けるようになりたい」
と思っているんだな,と感じることができました.
希望を感じた二日間でした.
今回のオンライン講義で「縦の対話」がどれくらい生まれたかは分からないけれど,「対立」を通じて少しは「変化」してくれたのではないかな,と思ったりしています.
それにしても,「思いもよらない躓き」が文字で見えたのは,とても有難かったです(具体的には書かないですが,驚くような思い込みをもっていた子もいました!).
オンラインの良い点ですね.