yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

こういう問題,苦手ーー

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甲陽学院中学の算数の入試問題です.
(イラストはイメージです.「いらすとや」さんのイラストがかわいい(笑))

 

文字をたくさん使って強引にやれば良い!と思っても,そう簡単にはいかない!

条件の1つが不等式というのが厄介です.

つまり,文字で置いても,値を特定することはできない!

設定の特殊性に注目して,「求めよ」と言われているものを「求める」ことに集中しないといけないのです.

中学や高校の数学の先生は,けっこう苦手なのではないかな,と思って紹介してみました.

 

【文字で置きまくって解く】
A,B,Cの今の1日の仕事量をそれぞれA,B,Cと表すことにする.全体の仕事量をXとおく.
条件より
  20(A+0.5×C)=X
  24(B+0.5×C)=X
  15(A+B)<X<16(A+B)
である.つまり,
  A+0.5×C=X/20
  B+0.5×C=X/24
  X/16<A+B<X/15

(1) A+B+C=(1/20+1/24)X
  X/(A+B+C)=120/11
である.121=11×11であるから
  120/11=11-1/11
よって11日目の途中に終わる.

(2) A+B=11X/120-C
であるから,
  X/16<11X/120-C<X/15
  240/7<X/C<40
240/7=34.2……より,最も早くて35日目,最も遅くて40日目.

【できるだけ文字を使わずに解く】
20と24の最小公倍数は120.適当に単位を調整して,仕事の全体量が120であるとする.
すると,「Aと(Cの半分)の和」「Bと(Cの半分)の和」はそれぞれ,1日当たり6および5の仕事量.

(1) これらの和11が今の「A,B,Cの和」の1日当たりの仕事量になる.
120/11=11-1/11より,3人では11日目の途中に終わる.

(2) 「AとBの和」では,1日当たり120/16~120/15の仕事量である.つまり,15/2~8である.
「A,B,Cの和」の1日当たりの仕事量が11だから,Cの1日当たりの仕事量は3~7/2である.
Cだけの場合は,120÷3=40,120÷(7/2)=34.2……より,最短34日目,最長40日目である.

いかがでした?

けっこう難しいですよね.

0.5C+0.5C=Cとなっているから解けるという・・・

ちなみに,こういう問題は,解く方としてはA,Bを求めなくても分かってしまうのが大事なのですが,作る方としてはA,Bが「適切な値として求まる」ことを確認しておくことも重要になります.

例えば,Aが負の数として求まってしまう,なんていう設定になっていてはダメですもんね.