yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

漸化式でやれることは微分方程式でもやれる?

微分方程式は,好きですか?

導関数と元の関数が満たす関係式を見て,どんな関数なのかを考えるのですね.

導関数

  lim(f(x+h)-f(x))/h

ですから,差をとっているのですね.

階差数列みたいなものなのですよね.

関数での微分が,数列での階差

数列での和は,関数では・・・そう,積分ですね!

 

昨日,漸化式のちょっと変わった解法を紹介しました.

 ①漸化式で,
 ②特性解を求めず,
 ③階差をとり,
 ④階差数列が分かっても
 ⑤Σを計算せず,
 ⑥連立で
 ⑦一般項を求める.

これを関数化すると,どう翻訳されるでしょう?

 ①微分方程式で,
 ②特殊解を求めず,
 ③微分し,
 ④導関数が分かっても
 ⑤積分をせず,
 ⑥連立で
 ⑦関数を求める.

なるほど,こういうことですね!
やってみましょう!

f:id:phi_math:20200823001721p:plain 

この微分方程式,ふつうは,どうやって解くのでしょう?

漸化式での,

 ①特性解を見つけ,
 ②差を取って,
 ③等比型の漸化式を作り,
 ④初項の条件から一般項を求める

という流れを意識しながら見てください.

①1次式に特殊解があることを見抜き,
  (ax+b)'=2(ax+b)+x
からa,bを求めます.
  0=2a+1 かつ a=2b
 ∴ a=-1/2,b=-1/4
と分かります.
② f'(x)=2f(x)+x  
  (ax+b)'=2(ax+b)+x
の差をとって,
③ {f(x)-(ax+b)}'=2{f(x)-(ax+b)}
となるから,
  f(x)-(ax+b)=Aexp(2x)
④f(0)=2からAを求めたらOK

例の漸化式の解法とそっくりですね(分かる人限定でスミマセン)

微分方程式を解くときには,同値性も意識しておく必要があります.
ちょっと確認しておきますね.

一般に,
  f(x)=g(x)(恒等式
 ⇔ f'(x)=g'(x)(恒等式
  かつ f(a)=g(a)(あるaで成り立つ関係式)
です.
だから,微分を繰り返すときは,初期条件を添えながら同値変形します.

一方,今回の方法は,
  f(x)=g(x)
 ⇔ f(x)=g(x) かつ f'(x)=g'(x)
 ⇔ f(x)=g(x) かつ f'(x)=g'(x) かつ f"(x)=g"(x)
という同値変形になっていますね.

連立,サイコーーー!!

 

 ちょうど10年前の処女作(売り切れ中)!

  ↓

微分方程式でも色んな本があるのですね.