yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

4次関数の平方完成 -微分による解釈-

4次関数で平方完成して,

 (2次式)^2+(1次式)

という形にできることを紹介しました.
その際,最後に残る1次式は,

 y=(1次式)

という直線を作ると,4次関数のグラフに2点で接する接線になるのでした.
ただし,(2次式)=0が異なる2つの実数解をもつときだけですが.

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“2か所接線”でないときにも,この直線の傾きにはある意味があります.

 「4次関数のちょうど真ん中」

における接線と同じ傾きになるようです.


 ちょうど真ん中って?


4次関数f(x)を微分すると3次関数f'(x)で,その符号変化から,f(x)の増減が分かります.

もう一度微分すると2次関数f''(x)で,その符号変化から,f(x)の凹凸が分かります.

さらに微分すると,1次関数で・・・

 2次関数f''(x)の増減(グラフの頂点)

 3次関数f'(x)の凹凸(グラフの変曲点)

が分かります.

元の4次関数で,この点がどう呼ばれるのかは・・・高校数学では表現されないので,とりあえず「4次関数のちょうど真ん中」と表現することにしました.

上の例で言うと,x=-1/2 がちょうど真ん中です.

“2か所接線”が存在するとき,それは「ちょうど真ん中」での接線と平行になるのですね.


元に戻って,4次関数を平方完成して

 f(x)=(2次式)^2+(1次式)

としたとき,直線y=(1次式)は,(2次式)=0での

 D>0のとき,“2か所接線”

 D=0のとき,“ちょうど真ん中の点における接線”

 D<0のとき,“ちょうど真ん中の点における接線と平行な何らかの直線”

ということになります.


 紫‥‥y=(x^2-2)^2+2x
 青‥‥y=(x^2)^2+2x
 緑‥‥y=(x^2+1)^2+2x

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