yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

収束するものの積は,極限値の積に収束する

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※下から2つ目の答え,1ではなく,2です.スミマセン・・・

質問に答えるなら・・・
論点を変更するのが一番楽ですね.

でもそれだけで終わるともったいない!

【回答例】*****

 収束するものの積は,極限値の積に収束する

を使っているんじゃないんだ!

 f(x)=g(x) のとき, lim f(x)=lim g(x)

というもっと当たり前のことを使っているじゃないかな?

limがない状態で“約分”をしているんだよ.
だから,こう書いても大丈夫そうだ!
確かに,limが付いた状態で変形しているから分かりにくいかも知れないね.

せっかくだから,確かにおかしくなる例も確認しておこう.

1つ目の例のように

 x→0のとき,sin x / x → 1

を使うときは,「limが無い状態での“約分”」ではないから,部分的に“1”に書き換えるような書き方はダメだね.
公式を同時に使って,一発でlimが無い答えにするのが良いね.

ちなみに,2つ目の例は,ちょっと注意した方が良いかも.
だって,発散するときに至っては・・・「∞」は数字じゃないから,答えが「∞」になるものを,「同じ極限だから」と言って=でつなぐのは許されないよ.

 lim(x→∞)(x^2+1)=∞,lim(x→∞)(x^3+x)=∞

だからと言って,

 lim(x→∞)(x^2+1)=lim(x→∞)(x^3+x)

と書くのはおかしいもんね.

同じような計算をしているように見えて,許されるとき,許されないときがあるし,致命的におかしいときもあるんだ.
極限は,ちゃんと意味が分かっていないと,正しく解答を書くのが難しいみたいだ.

*****


これを対話しながらやれたら良いな,と妄想していました.
実際に質問があったわけではない.

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