yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

収束しないことを発散と言う!極限があるときは・・・

重箱の隅が大好物(笑)
今回も隅っこの方をつついていきます!
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極限とは?
無限数列において,十分大きい番号nの項に限定して,その挙動を考えること.
「十分大きい番号で常に●●が成り立つ」というのが極限の原則でした.
“十分大きい”ももちろん大事ですが,今回は,“常に”の方を意識しておきましょう!

さて,極限について整理しておきましょう.

挙動が1つに決まるのが
 ・収束
 ・+∞に発散
 ・-∞に発散
の3種.
収束しないことを発散というので,発散は
 ・+∞に発散
 ・-∞に発散
 ・その他
の3種.
その他は,挙動が1つに決まらない場合(振動して発散・極限が存在しない).

 1,-1,1,-1,‥‥

 1,-2,4,-8,‥‥

 3,1,4,1,5,‥‥

などですね.
(1)は,この1つ目.


 極限を考えるに値する数列であるが,極限は存在しない

どこまでも,もれなく,数が並んでいますから,極限は考察の対象になるのです.


先日の変な例は

 1/5,1/4,1/3,1/2,1,  ,-1/2,-1/3,‥‥

でした.
6個目が空白.

でも,十分番号nが大きい項だけを考えるので,ノープロブレムでした!
極限は考える対象となり,しかも,「0に収束」です.


では,今回の(2)は?

 1, ,1, ,1, ,1,‥‥

1つおきに存在しません.
無数に数が並んでは居ますが,半分しかありません.
どれだけ番号が大きいところにも,値が存在しないところがあります.

“常に”を考えての挙動を調べるのに・・・

こんな数列で極限を定義することは不可能ですね.

 極限を考えるに値しない


が私の結論です.


「存在しない」以前に「極限を考えることができる対象か?」という議論も可能なのですね.

 考える価値アリ
 考える価値ナシ

価値アリは

 存在する(収束・∞・-∞)
 存在しない

に分けることができ,また,

 収束する
 発散する(∞・-∞・存在しない)

に分けることもできる.


価値ナシを,「収束ではない」と言うのは良いのではないか,と思っていますが,確証はありません.

例えば,有限数列

 1,2,3

も以降は数が並ばないので,

 1,2,3, , , ,‥‥

と考えたら,「極限を考える価値ナシ」という教科書的な記述とも整合していますね!


極限などについて大学1年レベルで面白いネタを集めた本
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