yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

「同じ」は「違う」?

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逆数をとるので,怪しいのは,a_6=0 になること.

最初から数が並んでいて,逆数をとったものの極限では,数列の項を「十分大きい n でのみ」考えるから,1 / a_6 が存在していなくても,1 / a_7 は存在しており,何事もなかったかのように極限を考えることができそうです.
εを使った収束の定義を考えたら,より明確になりますね.

では,{b_n}を漸化式で定義すると,どうなるでしょうか?

 b_1=1 / 5
 b_2=1 / 4
 b_3=1 / 3
 b_4=1 / 2
 b_5=1
 b_6=‥‥ 1 / 0 ☜こんなもの存在しない
 b_7=(存在しない)/{1-(存在しない)} ☜こんなもの存在しない
 b_8=(存在しない)/{1-(存在しない)} ☜こんなもの存在しない
 ‥‥‥

これ以降も存在しないようです.
数が並ばないのに,極限を考えることはできないですね・・・

 a_n→α(極限値α≠0)のとき,1 / a_n→1 / α

は,途中に 1 / a_n が定義されない n があっても問題なさそうです.
だって,それ以降も数が存在しますから.
(εの論法により,ある番号以降にa_n=0となる項は存在しないことが分かる!)

でも・・・
上のように,直接{b_n}を定義すると,途中から数が並ばなくなって,極限を考える対象にならない.

こわいですねぇ.

これの答えを 0 にする人,多いんじゃないですかね?

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