yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

高校数学教育者には,ぜひ,知っておいてもらいたい!「多項式」と「多項式関数」の区別 ②

 

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この内容は,「教科書」から読み取った内容で,私の考えというわけではありません.
「ホント?」と思われるところがあると思いますが,私の書いたことを踏まえて教科書をぜひ見返してください!
おそらく分かっていただけると思います(教科書の言いたいことが).

では,コピペから始まります(笑)


「2次式」と「2次関数」.
実は違うのですけど・・・
違いは説明できるでしょうか?


「2次式」は,x^2,x,1 に係数を付けて足した形の「式」

  ax^2+bx+c

のことです.
2次ですから,a≠0 としておくのが良いですね.


「関数」は,x を代入して y を得るルールのこと.
x に代入できる数全体の集合のことを,「定義域」と呼んでいます.


「2次関数」は,得られる y が,x をある「2次式」に代入して得られるということ.

  y=ax^2+bx+c

もちろん,a≠0 です.


この対応「y=ax^2+bx+c」を関数と呼び,「関数 y=f(x)」と書いたりするのです.
ここまでは良いのですが,ヤヤコシイのは,「f(x)」を関数と呼ぶことがあるということ.
これが,「2次式」と「2次関数」の意味の違いを不明瞭にしてしまっているのです.
(残念ながら,分かりやすさを重視したことによる,高校数学の「負の部分」です)


だから,「f(x)=ax^2+bx+c」を関数と呼ぶような気がしてしまうのです.

 「ダメなの?」

と思っていませんか?

ダメなんですよ.
これは,「2次式」に名前を付けているだけ.


※抽象的に対応関係の名称として「f」を関数と呼ぶのが大学では一般的です.
 文字 x に依存せず,抽象的に,「対応関係」に名前を付けている,という意味.


(1) 2次式x^2+3x+4

これは〇です.


(2) 2次関数x^2+3x+4

これは×です.対応を表していませんから.


(3) 2次関数y=x^2+3x+4

これは〇です.


(4) 2次関数f(x)=x^2+3x+4

これは,なんと,×なんです.
対応を表していませんから.
f(x)という2次式を定義している式です.


(5) f(x)=x^2+3x+4として,2次関数y=f(x)

これは〇です.
先に2次式を定義して,それを使って2次関数を表現しています.


(6) f(x)=x^2+3x+4として,2次関数f(x)

これは,〇なんです!
上に書いた通り,これが諸悪の根源です(言い方がキツイ?).


(7) 2次関数y=f(x)=x^2+3x+4

これは,前半が関数,後半が2次式の定義.
1つながりの式に二つの意味を持たせるのは,そもそも,ルール違反です.
後半は恒等式のイコールだ,と見ても,もちろん,ルール違反です.


こうやって見ていると,とっても窮屈な感じがしますが,まっさらな状態の生徒に指導する際には,ぜひ,意識していただけたらな,と思います.
日本の明るい数学教育のために,よろしくお願いします.
(偉そうにスミマセン・・・)