「2次式」と「2次関数」.
実は違うのですけど・・・
違いは説明できるでしょうか?
まず,「関数」とは?
x を代入して y を得るルールのこと
x に代入できる数全体の集合のことを,「定義域」と呼んでいます.
「数列」を関数と見るときは,定義域は「自然数全体の集合」
N={1,2,3,‥‥‥}
a_n=f( n ) となる関数 f( n ) が一般項で,等差数列は,
「自然数全体の集合を定義域として1次関数で表される」
というのが正確だろうと思います.
では,「多項式」と「多項式関数」の違い.
とくに2次の場合で話をしてみましょう.
「2次式」は,x^2,x,1 に係数を付けて足した形の「式」
a x^2+b x+c
のことです.
2次ですから,a ≠ 0 としておくのが良いですね.
「2次関数」は,得られる y が,x をある「2次式」に代入して得られるということ.
y=a x^2+b x+c
もちろん,a ≠ 0 です.
さて,ここからが本番.
2次式 f(x)=a x^2+b x+c と g(x)=p x^2+q x+r について
①2次式としての一致
f(x) と g(x) が「2次式として」同じとは
a=p かつ b=q かつ c=r …①
②2次関数としての一致
f(x) と g(x) が「2次関数として」同じとは
すべての x について f(x)=g(x)が成り立つ …②
①が成り立つとき,②は成り立ちます.
これは「明らか」と言って大丈夫です.
しかし,「②が成り立つとき,必ず,①が成り立つのか?」は自明ではありません.
次のような説明が必要になります:
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②は,
すべての x について f(x)-g(x)=0 が成り立つ …②'
と言い換えられます.ここから①を導きます.
すべての x で成り立つから,x=1,2 でもf(x)-g(x)=0 が成り立ちます.
f(x)-g(x)は,高々2次の多項式ですから,
f(x)-g(x)=s(x-1)(x-2)
と置くことができます.
さらに,x=0 でもf(x)-g(x)=0 が成り立つので,
s(-1)(-2)=0 ∴ s=0
です.よって,多項式として
f(x)-g(x)=0
∴ (a-p) x^2+(b-q) x+(c-r)=0 x^2+0 x+0
が成り立ち,
a-p=0,b-q=0,c-r=0
∴ a=p かつ b=q かつ c=r …①
が導かれます.
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「何を代入しても同じだ」という関数としての性質を,係数比較で議論する「多項式」の言葉に直さないといけないのですね.
少しややこしくなりましたが,解読いただけたでしょうか?
「多項式」と「多項式関数」の違いは,生徒にどれだけ正確に伝えるかは別として,教える側は知っておく方が良いのではないかと思います.
続編として,もう少し違った観点から,2つの違いを考えてみようと思います.
お楽しみに.