直線l,mの方向ベクトルとして
u=(1,2,-1)
v=(a^3-2a^2+2,a^3-3a^2+a+3,a^3-2a)
をとることができます.
mの方向ベクトルにおいて,「x成分の2倍がy成分と等しい」ことが必要だから
2(a^3-2a^2+2)=a^3-3a^2+a+3
a^3-a^2-a+1=0
(a+1)(a-1)^2=0
∴ a=1,-1
a=1のとき,
v=(1,2,-1)=u
a=-1のとき,
v=(-1,-2,1)=-u
だから,いずれもl,mの方向ベクトルは平行です.
これで,a=1,-1と答えても良いのでしょうか??
実は,a=1のとき,mは点(2,4,2)を通って,uと平行な直線で,
(2,4,2)は,l上にあります(t=1のときの点).
つまり,2直線lとmは一致しています!!
これを「平行」と呼んでも良いのでしょうか?
ちなみに,a=-1のとき,mは点(0,4,2)を通っていますが,
これはl上にはないので,lとmは一致せず,「平行」です.
文句のつけようがありません!
さて,どうしましょう??
a=1を答えに入れるか?
★ある数学Ⅱの教科書を見ていると,次のような記述がありました.
2直線
y=m_1 x+n_1 ‥‥①
y=m_2 x+n_2 ‥‥②
が平行であるのは,それらの傾きが等しいとき(m_1=m_2)である.
【注意】m_1=m_2,n_1=n_2のとき,直線①,②は一致するが,この場合も,
直線①,②は平行であると考えることにする.
★同じ出版社の教科書の数学Aでは,次のように書かれています.
異なる2直線l,mの位置関係には,次の3つの場合がある.
[1]1点で交わる [2]平行である [3]ねじれの位置にある
数学Ⅱの方に「異なる」と書いておいてくれたら良いのに・・・
数学Ⅱの教科書の記載を根拠にして,「答えはa=1と-1だ」と主張しましょうか?
さて,何と答えるべきか・・・
a=-1
a=1のときは一致するが,これを平行と見る解釈も可能である
が模範解答でしょうか?
1つ言えること,こんな問題は,テストでは出しちゃダメですね.
授業のネタ(教科書精読)にするのは,アリ?
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