yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

2 / 13 = 0. 1538461538461538 ‥‥から

お世話になっている出版社「現代数学社」の雑誌「現代数学・2020年10月号」に載っていた問題を見て考えた(思い出した)ことがあるので,ちょっと書いてみます.

中学入試算数の元ネタになることもある,整数・分数・小数の性質です.

 

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(1)

0. 3846153846153846 ‥‥ は,2 / 13 の小数第3位以下の部分.
とりあえず,0. 1538461538461538 ‥‥に何かを掛けたいのですが,何を掛けましょうか?
小数点を2だけずらすので,100 を掛けてみましょう!

 200 / 13 = 15. 3846153846153846 ‥‥

これから,ある数を引くと良いですね!
引く数は?

  0. 3846153846153846 ‥‥

 =15. 3846153846153846 ‥‥ - 15

 =200 / 13 - 15

 =(200 - 195) / 13

 =5 / 13

15 を引けば良かったのですね!


○(1)の解説○

これって,実は,

 100 = 13 × 7 + 9 ☜余りが 9

と関連があります.

 2 × 9 = 18 = 13 × 1 + 5 ☜余りが 5

この 5 が 5 / 13 の分子です.
5 は 200 を 13 で割った余り.

 100 × 2 / 13 = (13 × 商+ 5) / 13 = 整数 + 5 / 13

ということですね.


(2)

2 / 13 で繰り返される数 153846 は,6 桁で,しかも,末尾の数が 6 です!
これが答えになるのではないでしょうか?
末尾の 6 を先頭に移動させた 615384 が,元の数 153846 の 4 倍になっていたら嬉しい!

筆算で計算してみると・・・

 153846 × 4 = 615384

アタリでした!!


○(2)の解説○

これは,どういうことでしょう?

 2 / 13 = 0. 1538461538461538 ‥‥

に戻ると,これって実は,

 2 / 13 = 0. 1538461538461538 ‥‥ = 153846 / 999999

となっているということ.
ちなみに,

 999999 = 13 × 76923

です.
これを使うと,1 / 13 がどんな小数なのか分かります.
つまり,

 1 / 13 = 0. 0769230769230769 ‥‥

最初に 0 があるのをお忘れなく!


さて,本題に戻ります.

615384 を小数点以下に作るためには,

 2 / 13 = 0. 1538461538461538 ‥‥

に100000を掛けるはず.

  100000 × 2 / 13 = 15384. 615384615384615 ‥‥

 =15384 + 615384 / 999999


これを利用して,615384 が 153846 の4倍になる理由を確認しましょう.


100000 を 13 で割ると,余りが 4 なので

 100000 = 13 ×商 + 4

 ∴ 100000 × 2 / 13 = 整数 + 4 × 2 / 13

と分かって,

 4 × 2 / 13 = 615384 / 999999

 ∴ 4 × 153846 = 615384

となっているのですね.

 

※補足※

「1の位の数が6であるような6桁の整数で,末尾の6を先頭に移動させて得られる整数が,元の整数の4倍になるものを1つ求めよ.」という問題でしたが,実は,この性質を満たす整数は 153846 だけです.
文字式を使って証明できますので,チャレンジしてみてください!

 

代数学10月号.
毎月,数学者が表紙ですが,今月は「算学大名」.
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 今回のネタは,この本にもっと詳しく書いています.
灘中の整数問題を,大人の整数論的に解説する斬新な本です.
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