yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

複素数平面の問題を作ってみましたが,どうでしょう? ②

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今回も複素数の4つの観点

 ① 実部・虚部の計算

 ② 絶対値・共役の性質

 ③ 極形式の利用

 ④ 幾何的な考察

を思い出しておきます.

※z=x + yiの共役複素数(x-yi)を,この記事では[z]と表すことにします.


  |[z]|=|z|,

  arg[z]=-arg z


です.特に,


  1 / z=[z] / |z|^2


 ∴ arg(1 / z)=arg[z]=-arg z


です.また,


  [z±w]=[z]±[w],[zw]=[z][w]


です.

そして,回転角について


  ∠βαγ=arg{(γ-α) / (β-α)}


です.
αを中心にβを回転してγの向きにする角度(反時計回りが正)です.


さて,準備はこれくらいでOKでしょう.


前回は,②の観点で


  X=([β]-[α])(β-γ)([δ]-[γ])(δ-α)


と変形しました.


  [β]-[α]=[β-α]


なので,


  arg([β]-[α])=arg([β-α])=arg(1 / (β-α))


です. 
[δ]-[γ]も同じように考えると,argXを考えることができそうです.
Xは実数だから,


  argX=0 または π (+2nπ)


です.前者なら正の実数,後者なら負の実数です!
さぁ,どっちでしょう?


  argX=arg{1 / (β-α)×(β-γ)×1 / (δ-γ)×(δ-α)}


   =arg{(δ-α) / (β-α)}+arg{(β-γ) / (δ-γ)}


   =∠βαδ+∠δγβ


   =π(+2nπ)

 

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ということで,結論は

  【負の実数】

でした!


ちなみにXの値は,絶対値を考えたら


  X=-AB・BC・CD・DA


となることが分かりますね.


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