yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

接しているとは??

 

 

f:id:phi_math:20201031093456p:plain

接しているかどうかは,以前にも書いたように,接空間で理解すべきものです.
 👇

接するって,どういうこと? - yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー



単位円ではx=1,y=1が接線になることは疑いようのないことです.

上半円にy=1が接しているのも問題ないですが,x=1となると,ちょっと微妙になってきます.
片側しか考えられないですが,これは「接している」としても良いように思います.

※片側接線と言う方が良いのかも知れません.

例えば,y=|x^2-1|の(1,0)においては,

  右接線:y=2x-2

  左接線:y=-2x+2

が一致せず,接線は存在しない!


では,点線ではどうでしょう?
xが有理数のときは上半分,無理数のときは下半分という,画期的な(笑)曲線です.

y=g(x)とおくことにします.


y=1は,接しているとは言えないでしょう.
それは,

  h→0のとき,(g(h)-g(0))/h→?

と考えたら分かります.
ちなみに,g(0)=1です.0は有理数ですから!

・hが有理数のみをとって0に近づくとき
 g(h)→1で,(g(h)-g(0))/h は限りなく0に近づきます.
 (√(1-x^2)のx=0での微分係数と一致します.

・hが無理数のみをとって0に近づくとき
 g(h)→-1で,(g(h)-g(0))/h は限りなく発散します.

  h<0の左側・無理数限定の極限が+∞
  h>0の右側・無理数限定の極限が-∞

となります.


では,x=1は接線でしょうか?
これは,接線と言えるのではないかと思います!

(1,0)の周辺で,y=g(x)のグラフは上下に分かれているから,直感的なイメージでは「不連続」ですが,ε-δによる正式な定義では,「(左側)連続」になっています!

  h→-0のとき,(g(1+h)-g(1))/h→?

を考えてみると・・・
g(1)=0,g(1+h)→0です.

  有理数限定の極限が-∞
  無理数限定の極限が+∞

です.
これは,y=√(1-x^2)の上側接線も,y=-√(1-x^2)の下側接線も

  x=1

であることに対応しています.
だから,「接している」で良いのではないかと思います.

いや,最後の件は,あまり自信が無いのですけど・・・
たぶん「接している」で大丈夫だと思うんですけど.

「確証の無いことを書くなよ」とか言わないでくださいね.
誰にだって,分からないことはまだまだ沢山あるんですよ!
自分なりの「探求」は大事なんです!!


 

※私の書籍一覧もご覧ください※
  ☟

【吉田信夫のブログへ,ようこそ!】(執筆書籍一覧) - yoshidanobuo’s diary