yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

よくある!? 同値記号の誤用 ―数学の答案の書き方について―

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kに関する条件p(k)は,kに数値を代入するごとに命題になり,真偽が決まるのでした.

 p(1)は真,p(2)は偽,・・・

という感じです.

ある日本語を条件に付け足すと,命題に変わります.

1つ目:

 すべてのkについてp(k)が成り立つ

2つ目:

 p(k)を満たすkが存在する

いずれも,kに値を代入するごとに命題になるものではなく,真偽の決まる文,つまり,命題になっていますね!


1つ目:

 p(1)もp(2)も,・・・すべて真か?

2つ目:

 p(1),p(2),・・・の中に,真になる命題はある?


いずれもYesかNoで答えるもの(命題)になっています.


「3点A,B,Cが同一直線上」というA,B,Cの条件と同値になるのは

 1つ目:

  すべてのkで,ベクトルAB=k×ベクトルACが成り立つ

 2つ目:

  ベクトルAB=k×ベクトルACとなるようなkが存在する

のどっち?


そう,2つ目ですね!

  異なる3点A,B,Cが同一直線上にある

 ⇔ ベクトルAB=k×ベクトルACとなるようなkが存在する

と書いてあれば,何も問題はありません.

ただし,「異なる3点A,B,Cが同一直線上にある」という状況を説明しているだけで,「実際に3点が同一直線上にある」と分かっているのではありません!
条件と情報は違うのでしたね.
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「から」じゃないですから! ~数学答案の書き方について~ - yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

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