yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

どんな変数に関する条件になっていますか? -数学の答案の書き方について-

何となく解けているだけになっている人,けっこう多いかも知れませんよ.

f:id:phi_math:20201017160248p:plain

 

では,行間をすべて細かく見ていくことにしましょう.

まず,本問は,実数aについての条件:

 「y=x^2に(0, a)から2本の接線を引ける」‥‥(*)

を「aの範囲」に書きなおす問題です.

論理構造をしっかり見ていきましょう.

(*)は

 「y=x^2の接線で(0, a)を通るものが2本存在する」‥‥(*)

と言い換えらえれます.
この前半部分

 「y=x^2の接線lが(0, a)を通る」‥‥(#)

は,集合{y=x^2の接線l}と集合{実数a}を全体集合として,接線lと実数aに関する条件です.
そして,(*)は,

 「条件(#)を満たすlが2個存在する」

になります.
(#)で変数だったlは,「2個存在するか?」と考えられる対象となり,この時点で変数ではなくなります.
だから,(*)はaのみに関する条件です.

次に,接線lの話だったのが,tの話に変わった部分を考えます.

接線lがy=x^2に接する点を(t,t^2)とおきます.
つまり,

 f:{y=x^2の接線}→{実数}
 f(l)=t(ただし,tは接点のx座標)

という関数(写像)を考えると,接線全体の集合と実数全体の集合の間に,対応をつくることができます.

 l:y=2tx-t^2

です.
これにより,接線lと実数aに関する条件(#)を,実数t,aに関する条件

 「a=-t^2」‥‥(%)

に書き換えることができます.

ここからは上記と同様です.

 「(%)を満たすtが2個存在する」‥‥(*)’

を考える時点で,tは変数でなくなり,(*)’は,aの条件になっています.

こう考えると,この解答はかなり高度な内容ですね!
本当にちゃんと分かっていましたか??