「~のとき」と分けて解くことを,何でも「場合分け」と呼んでしまいますが,実は色々ありますよね.
その違いを意識していないと,思わぬところでミスをしてしまう可能性があるのではないかと思います.
授業していて,「分かっていないのかな?」と思う節があったので,予定を変えて説明したこともあります.
その辺をちょっと整理してみようと思っています.
1⃣は,aに色んな値を入れることができるのだから,「無限個の問題を解け」と言われています.
a=-2のときの問題:
y=x^2+4x+9 (0≦x≦1)の最小値
a=0のときの問題:
y=x^2+1 (0≦x≦1)の最小値
a=100のときの問題:
y=x^2-200x+20001 (0≦x≦1)の最小値
……
無限個の答えをすべて書いたら良いのですが,現実的には不可能なので,「いくつかに分類して答えよ」ということになります.
定型的には[赤枠]のように答えますが,これ以外の答え方も可能です.
本来は無限個に場合分けされるわけですから!
一方,2⃣は,1つの関数についての最小値を考える問題ですから,1つの問題を解くだけです.
実数全体を定義域とする関数が,x≧0とx<0で,式の形が異なっています.
だから,いったん,2つの関数
y=x^2+1 (x≧0) と y=(x+1)^2 (x<0)
を考えて,それぞれの最小値を求めています.
1) x≧0 では,常に y≧1 が成り立ち,
x=0 のとき y=1(等号成立)
2) x<0 では,常に y≧0 が成り立ち,
x=-1 のとき y=0(等号成立)
実数全体では,
常に y≧0 が成り立ち,x=-1 のとき y=0(等号成立)
と分かり,最小値は 0 と確定します.
[緑枠]が答えです!
ある1つの関数の最小値ですから,1つに確定します!
y=x^2+1 (x≧0) と y=(x+1)^2 (x<0)
のグラフを描いて,y座標が一番小さい点(一番低いところ)を探しているだけですから.
*********
無限個の問題を解いている1⃣と,1つの問題を範囲ごとに考えてから統合している2⃣では,大きく違いますね.
1⃣っぽいと思っていたら,途中から2⃣になっている,みたいなこともあって,けっこう難しいです.
私は,解答を書き分けるのが良いのではないかと思っています.
1⃣
aの値によって分類して答える.
1) aが0≦a≦1を満たす定数であるときは,
x=aで最小値a^2+1をとる.
2) aがa<0を満たす定数であるときは,
x=0で最小値2a^2+1をとる.
3) aがa>1を満たす定数であるときは,
x=1で最小値2a^2-2a+2をとる.
2⃣
絶対値を外すと,yが1つの式では表されないから,定義域を2つに分割して考える.
1) x≧0においては,y=x^2+1と表され,
この範囲での最小値は1 (x=0)である.
2) x<0においては,y=(x+1)^2と表され,
この範囲での最小値は0 (x=-1)である.
実数全体で考えると,最小値は0である.
1⃣とも2⃣とも違う「場合分け」もありますし,またその辺は別記事で.
※私の書籍一覧もご覧ください※
☟