yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

必要十分条件,本当の意味が分かっている人は限りなく少ないのかも・・・

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条件 p(x) は,x に代入するごとに命題(真偽が決まる)になるものでしたね.

 命題p(0)は真,命題p(π)は偽

という具合に.

 p(x)→q(x)

は,x に何か代入しないと真偽が決まらないので,「条件」.

 任意の x について「p(x)→q(x)」

とすると,「命題」になるのですね.
この「命題」が真のときに,高校数学では,「条件:p(x)→q(x)」が真,と言うローカルルールがあります.
このローカルルールしか知らない人がほとんどなのですけどね.

しかし,代入できる x の範囲を決めておかないと,意味をなさないのでした.

そこを突いたのが,今回の問題.

集合Aの要素についての条件を考えましょう.

 x∈Aについて,p(x)→q(x)

が真になるのは,

 P={a∈A|p(a)が真},Q={a∈A|q(a)が真}

というAの部分集合について

 P⊂Q

が成り立つとき.

集合Aの要素についての条件p(x)がq(x)の必要十分条件になるのは,Aの部分集合として

 P=Q

となるときです.

ちなみに,2つの集合S,Tについて,2つの集合が一致(S=T)とは,

 S⊂T かつ T⊂S
 
が成り立つことを言います.

ということで,

 ⓪ P:偶数全体の集合,Q:4の倍数全体の集合 P⊃Q

 ① P:偶数全体の集合,Q:4の倍数全体の集合 P⊃Q

 ② P:偶数全体の集合,Q:4の倍数全体の集合 P⊃Q

 ③ P=∅,Q=∅ P=Q ∴適

 ④ P:4の倍数全体の集合,Q:4の倍数全体の集合 P=Q ∴適

 ⑤ P:偶数全体の集合,Q:4の倍数全体の集合 P⊃Q

 ⑥ P=∅,Q=∅ P=Q ∴適

となります.

③,⑥を自信満々で選べる高校生はどれくらい居るでしょうか?
(私の教え子たちは,選べるようになりました!)

 
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