yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

2022年・灘中・1日目・算数[9]

f:id:phi_math:20220129102255p:plain

なかなか面白い問題です.
√3を使うと簡単に分かりますが・・・

【解1】

f:id:phi_math:20220129102316p:plain

ABとCDを延長して,交点Eをとると,角DAE=30°だから,二等辺三角形DAEができる.
三角定規形だから,BE=10,CE=5√3
AE=9で,AM=9/2
三角定規形だから,AD=3√3
よって,DE=3√3で,
 CD=5√3-3√3=2√3

よって,CDはDAの 2/3倍 ■

√3を使わずにやりたい!
比だけでいけるか?
ADとBCも延長して“相似”をたくさん作ることもできます(ぜひ,やってみてください)が,ここでは違う方法.
でっかい正三角形を作ると,Dが重心になっている!

【解2】

f:id:phi_math:20220129102326p:plain

AEが1辺の正三角形を図のように作る.
Dは中線FM,ENの交点だから,重心で
 ED:DN=2:1
また,三角形EAN,EBCが相似で相似比が9:10
よって,

 ED:DN:NC=6:3:1
ED=DAだから,
 AD:CD=6:4=3:2

よって,CDはDAの 2/3倍 ■

かっこいい!!
さて,最後.
灘中と言えば,“正三角形格子”が定番なんですよね・・・
下図のように小さな正三角形を配置していくと,Dはどこにあるでしょう?

f:id:phi_math:20220129102333p:plain

【解3】
f:id:phi_math:20220129102341p:plain

150°は図の方向に延びていることを意味する.
同じひし形の対角線の3個分と2個分だから,CDはDAの 2/3倍 ■

こんなことをされたら,せっかく考えてきた解法が台無しです(笑)
定番解法の威力,恐るべし!!