yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

空間で直線に関する対称移動をしてみる

先日の,空間内での円の接線の話は,無事に解決しました!
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接するって,どういうこと? - yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー



接する系の話もまた書くとして,今回は,対称移動を空間でやってみる話です.

 

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●平行●
例えば,lが「y=0 かつ z=1」とすると,xy平面の像は?

x軸が「y=0 かつ z=2」に移りそうです.
一般には(a,b,0)は(a,-b,2)に移ります.
像は,平面z=2です.

いずれの場合も,像は平面です.どんな平面かを考えていきましょう.

●垂直●
例えば,lが「x=0 かつ y=0」とすると,どうでしょう?
z軸に関する対称移動です.

これは,xy平面の点の移動だけを考えると,原点に関する対称移動と同じです!
(a,b,0)は(-a,-b,0)に移って,xy平面の像はxy平面です!

垂直な直線は,適するものになります!

●含まれる●
xy平面内の直線lに関する対称移動では,xy平面の点はxy平面の点に移ります.
これは問題ないでしょう!

含まれる直線は,適するものになります!

●一般的な配置●
上記以外のとき,という意味です.
これは,イメージしにくいですよね.

まず,自明なこと.
lと平面の交点をAとすると,対称移動でAは変化しません!

次に,平面内で,Aを通ってlと垂直な直線mの像はm自身になると分かりますか?
m上の適当な点Bからlに引いた垂線の足はAであるから,Bのlに関する対称点は,Aに関する対称点と一致し,その点もm上にあるのです.

そして,lをxy平面に正射影して得られる直線をl’とします.
l’は,Aを通り,mと垂直な直線です.
l’の像はどうなるでしょうか?

lとl’を含む平面Pを考えます.
Pは,Aを通ってmと垂直な平面です.
lに関してl’を対称移動すると,P内の直線l”になります.
l”がどんな直線かというと・・・

 l’とl”のちょうど真ん中をlが通っている

という配置になりそうです.
角の二等分線でになっていますね.

ということで,xy平面の像は,「mとl”を含む平面」ということになります.
一般的な配置(「平行,垂直,含まれる」ではない)ときは,像である平面は,xy平面ではないですね!


空間内での対称移動はイメージしにくく,このように文章だけで書かれても分かりにくいかもしれません.
ですが,

  「平面を決定するには,何が決まればよいか?」

という意識があれば,特定は可能だと思います.

  「3点」
  「1点と1次独立な2ベクトル」
  「1点と法線ベクトル」
  「含まれる2直線」

図をイメージできなくても,定性的に,情報をもとに「これしかないと特定する」という発想は大事です!
見えなくても,「こう決まったから,こうなんだ」という割り切り(?)も必要になります.

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