yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

「または」も色々

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※ [ ]はガウス記号(中に書かれた実数の整数部分)

(1)
nが偶数のとき,n-2[n/2]=0だから,x+y=1
nが奇数のとき,n-2[n/2]=1だから,x^2+y^2=1

表し得る図形は,円x^2+y^2=1と直線x+y=1です.
場合により,「直線または円」です.
文字定数nの偶奇により,「場合分け」されます.

(2)
積が0になるのがどういうときかを考えます.
(x+y-1)(x^2+y^2-1)=0は,条件としては
 x+y=1またはx^2+y^2=1
です.図形としては・・・「円または直線」でしょうか?

 点(x,y)が,直線上にある,または,円周上にある

ですが,図形が「直線または円」ではないですね.
図形を集合として言うと,

 直線x+y=1と円x^2+y^2=1の和集合

です.
「直線と円を合わせた図形」です.

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もう一度,整理します.

(1)は,答えが,円 or 直線で,どういうときにどちらになるのかがハッキリわかります.
この「または」は,文字定数による「場合分け」です.
論理の「または」ではありません!

(2)は,答えが,「円 and 直線の“和集合”」で,2つを合わせた図形です.
しかし,点(x,y)がどこにあるかという観点から言うと,円 or 直線です.
この「または」は,「範囲の分割」による表示です.
(これを「場合分け」というとマズイ・・・)

(2)のandを,「かつ」と訳すと失敗しますね・・・
条件をandでつなぐと「かつ」ですが,集合のandは並記であって,「和集合」か「共通部分」かを述べない意味がないわけです.

なお・・・

点(x,y)がどこにあるかという観点で,円 and 直線というと,それは「円 and 直線の“共通部分”」上に点があるということで,(1,0)または(0,1)になります.
再び,(1,0)or(0,1)ですね.
条件として(x,y)=(1,0)or(x,y)=(0,1)です.
集合では,「1点のみの集合{(1,0)}and1点のみの集合{(0,1)}の“和集合”」です.

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