yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

どう解く?共通テスト・第2日程 数学Ⅰ・A How to Solve IA

f:id:phi_math:20210205110718p:plain

1/31に行われた大学入学共通テスト・数学ⅠAです.
中間発表での平均点が35点!
驚きです.
そんなに難しいのでしょうか?
僕は47点くらいになると予想していて,第1日程の55.6点(中間発表)よりは低くなりそうと思っていましたが,ここまでとは.
・確率の計算処理量
・整数,図形の後半の難度
のため,満点を取りにくいようには思いますが,普通にやっても50点をとることは難しくないです.

本稿では普通ではなく,定性的なアプローチで可能な限り計算せず,ズルく解く方法を書いてみようと思います.
もっと楽な方法があると思うので,引き続き考えてみようと思います.
みなさまも,ぜひ!

では,できれば問題を解いてから,お手元に問題冊子を置いてご覧ください.

※文章ばかりなので,適宜,図など書きながらお読みください.
※しかも長い・・・スミマセン

******

数IA
第1問
〔1〕
(1)2つしかない(しかも,たぶん負の数)と分かっているから,見つけたら終わり

(2)
(ⅰ)解いて,√2の値を利用して,整数部分の評価をするしかないか?

(ⅱ)範囲の幅が6√2=8.4・・・その中に9個入るから,左端(b+4)√2の小数部分は大きいはず.
6√2は調べた.右端が17に満たない
7√2は9.8・・・で,大きい!6√2を足したら18.2・・・くらいで,OK!
【できるだけ値を細かく求めずに!】

〔2〕
(1)分子が固定されているから分母のサインが最大で,全体は最小
 →ずっと使う気づき

(2)場合分けの分岐点を特定,ちょうど接するときの数値を入れる

(ⅰ)無条件でサインが最大になる90°が実現可能
 →そうじゃない場合が,次の(ⅱ)

(ⅱ)P_1と,それ以外の任意のP_2で比較
 →おそらく,P_1が答え,というストーリー【不等式の証明+等号成立で最大確定】
P_2の話をP_3に変え(円周角の定理!)て,P_3とP_1を比較する流れ
 →予想通り,P_1が答えに!

(3)(ⅱ)の結果からPを特定
高さ・底辺が既知の二等辺の頂角
→斜辺を求めて,①倍角の公式(数Ⅱ),または,②面積を利用,または,③余弦定理

******

第2問
〔1〕
(1)問題文から傾き-1と分かるが,①に書いてある
 →x=200で200になるように

(2)書かれた通りに立式(ミスしないよう丁寧に)

(3)平方完成せずとも,-x^2+ax+bは-x(x-a)+bだから,x=a/2で最大【定性的な観点】

(4)不等式を解くのはメンドクサイ【定性的な観点】
 →y=-x^2と合同なグラフで,頂点よりも8400-7500つまり900だけ下にあるところ
 900=30^2だから,頂点から30だけ離れたところ!

〔2〕
(1)ちゃんと数えたり,計算したりは,不可能!【定性的】
選択肢(Ⅰ)白黒の縦方向,四分位範囲=真ん中半分の範囲→真ん中が密集なら小
選択肢(Ⅱ)白丸の縦横それぞれの存在範囲(縦横比が違うことには注意)
選択肢(Ⅲ)白丸はやや右上がり,黒丸は右下がりっぽさを醸し出す外れ値アリ

(2)式変形する(Σf_k=n)か,具体的な分布表で⓪~④の中からアタリを探す
平均値は,階級値の読み取りが少しわかりにくい.テを使うか,そのままやるか.

(3)Σx_k*f_k=n*平均,Σf_k=nを利用
統計で学ぶ公式を知っていたら楽(統計受験者を増やしたい思惑か?)
選択肢は1000ずつズレているから,ある程度,ざっくり計算しても正解は分かる
2乗の平均は10000でくくってから計算

******

第3問
(1)
(ⅰ)余事象?
(ⅱ)(ⅰ)を余事象でやっていても,結局,こちらでは3パターンが必要

(2)白は全部で2個しかない!
(ⅰ)(ⅱ)細かく見るだけだが,手間がかかる

******

第4問
(1)m=14,答えは1つだから,当てはめる
m=28は,最大のaが何であるかで分けて考える.
a^2≦28≦4a^2だから,a=5,4,3で実験

(2)8が適することは分かり,枠から1桁だから最大のものは8と分かる

(3)すべて偶数は適していそうで,答えは1つに決まるから,4個
→「奇数があったら,a^2+b^2+c^2+d^2≡1,2,3,4(mod8)で,NG」とやるのが正統

(4)“求めやすくなる”が何を意味するか?
「224で1つ」と書いてあるのは?
→m=14で1つだったことを思い出せ,という意味?
224が8の倍数か?2^5×7
定性的にやれるのは限界→(2A,2B,2C,2D)などとおけ,というのが(3)の意味
→A^2+B^2+C^2+D^2=2^3×7 ←8の倍数
さらに,(2p,2q,2r,2s)とおけて,p^2+q^2+r^2+s^2=14で,m=14に帰着

(5)オ=3個の意味は?(4)はm=14に帰着
3個だったm=28に帰着,と想像
896=2^7×7だから,
 m=7,2×7,…,2^7×7 ←8の倍数は5個

m=896=2^7×7 →÷4でm=2^5×7 →÷4でm=2^3×7 →÷4でm=2×7 1個
m=2^6×7 →÷4でm=2^4×7 →÷4でm=2^2×7=28 3個
m=7はまだ考えていない!4+1+1+1の1個
→m=7を考えていなくても,スが当たってしまう・・・

※ヒントが中途半端で,分かりにくい.
問題難度的にはもう少し具体的に書いても良いように感じた.

******

第5問
(1)ごちゃごちゃしていて,見にくい,読みにくい,分かりにくい.
円だから,半径のことを言っていると読んで,OSを選ぶ.
「三角形ZDG,ZHSおよびZDC,ZHOの関係」とは「相似」のこと.
辺の対応を追って機械的に埋められる(カまで).
S,O,Hが一直線のとき,対応するG,C,Dも一直線.
DGが直径,Cが中心.
→何もわからなくても,埋めることは可能!

(2)図を描くのが大変.
前の(1)の段階で「どっちの円だ?」と思っていたら,ここで報われる.
2円が接していて,2直線にも接する形
→半径の差を使って直角三角形(定石の形)
LM・LKは方べきっぽい
→LS^2またはLJ^2で求める.
 LS^2は2円共通の方べきだから,LI=LJ
 →LはIJを2等分!
ZI:ZJ=3:5だから,IJは2に相当.
ZLは4に相当し,ZKは5に相当.
角の二等分線の性質から,LN:NK=4:5
メネラウスでZS:SNを求める
・Kからlに垂線KHを引くと,KH:SN=9:4
 相似比からZS:KH=4:1
1:4:√15の直角三角形を使ってZSを求めて,SNを求める.

******

やはり,整数と図形の最後は厄介な問題です.
誘導が無いとかなりしんどいですが,誘導が分かりやすくも無く・・・

「できるだけ楽をする」を一番に考えながらも,各大問の最終盤には「楽をさせてくれない」問題が待っていると思っても良いかも知れません.
特に,数学Aにその傾向が強いです.

時間的な制約のため,「思考vsごり押し」の葛藤があったら,後者を選ぶことに.
数学という枠で見るとテストの本来の目的とは違うかも知れませんが,その「判断」をするというのは,大きな枠で見たら思考・判断・表現力を試すものとして適当なのでしょう.


※しつこいかもですが,僕の本,けっこう良いと思うので,オススメしておきます.

【吉田信夫のブログへ,ようこそ!】(執筆書籍一覧) - yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー