yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

脱!解法主義 ~大学入学共通テストからのメッセージ~

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普通は,平方完成して最大値を求め,因数分解して2次不等式を解くのですけど・・・
共通テストでは,数字が大きくなってしまうのが厄介なんですよね.

定石的で汎用性の高い解法は,いつでもどこでも使えるけれど,個別の問題において最適な解法とは限らないんです.
困ったときは定石に頼ろう,というくらいのスタンスがちょうど良い.


この問題だったら?


中学で習った2乗に比例する関数のグラフと合同なんだから,グラフはとってもわかりやすいものです.

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この性質を使わない手はない!

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  y=x(560-x)-70000

だから,y=-70000となるのがx=0,560で,ちょうどその真ん中に軸があります.
最大値をとるxは

  x=280 ‥‥ アイウ

最大値は,x=280を代入したら良いでしょう.

  280^2-70000=100×7×4×(7×4-25)=8400 ‥‥ エオカキ

x=0は軸から280だけ離れているので,高さは280^2だけズレています.
これは,いま考えている関数のグラフがy=x^2のグラフと合同だからです!
だから,最大値は,x=0でのy=-70000に280^2を足した

  280^2-70000

です.

この考え方を使うと,最後の2次不等式は,因数分解の問題ではなくなりませんか?


頂点のy座標が8400で,7500はこれより900だけ下になります.
900=30^2なので,軸x=280から横に30ズレたところの高さが7500です.
小さい方だから,

  280-30=250 ‥‥ クケコ

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いかがでしたか?
考えるべき点が,頂点から

・ヨコにどれだけズレている?

・タテにどれだけズレている?

を見るだけで解けてしまうんですね!
x^2の係数をちゃんと確認する必要はありますけど.


こういう定性的なアプローチも取り入れて,個別の問題で「もっとも楽をする!」ことを追求するのが,脱!解法主義です.

そんなのを集めたのが,この2冊!
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