yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

極方程式のことをよく考えてみよう

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極方程式

  r=cosθ+2

は何を表しているでしょうか?
単なる

  x=rcosθ,y=rsinθ

というパラメータ表示ですね.
極座標のときはr≧0としますが,極方程式のときはr<0も許容します.
θに偏角という図形的な意味があるのが面白いのです.

θを消去すると,x,yの方程式になります.
その際には,

  r^2=x^2+y^2,
  x=rcosθ,y=rsinθ

を用います.

  r=cosθ+2 ……①

今回はr>0なので,①の両辺にrをかけると

  r^2=rcosθ+2r

 ∴ x^2+y^2=x+2r ……②

です.残ったrを消すには

  x^2+y^2-x=2r

としてから,両辺を二乗して

  (x^2+y^2-x)^2=4(x^2+y^2) ……③

を得ます.

ところで,

  ① ⇔ ② ⇔ ③

でしょうか??

①と②については,何らかのθのときにr=0となるのであれば,同値でOKですが・・・

今回は,

  ② ⇔ ① または r=0

  ① ⇔ ② かつ r≠0

です.

二乗したら同値でないことはよくご存じかなと思います.

  ③ ⇔ ② または x^2+y^2-x=-2r

    ⇔ ② または x^2+y^2=x-2r


  ② ⇔ ③ かつ x^2+y^2-x≧0

ですね.
ということで,

  ③ ⇔ r=cosθ+2 または r=0 または r=cosθ-2

です.
r=0は,原点を表しています.

よって,③は元の極方程式とはちがう図を表しています.


では,極方程式

  r=cosθ-2

は,何を表しているのでしょう?

これが表す図形は

  (x,y)=(cosθ-2)*(cosθ,sinθ)

とパラメータ表示されます.θのところをθ-πに変えると

  (x,y)=(cos(θ-π)-2)*(cos(θ-π),sin(θ-π))

    = (-cosθ-2)*(-cosθ,-sinθ)

    = (cosθ+2)*(cosθ,sinθ)

となって,①をパラメータ表示したものと一致します!
ということは,出来上がる図形全体も等しいことがわかる.

  r=cosθ+2 ⇔ r=cosθ-2

だから,

  ③ ⇔ r=cosθ+2 または r=0

なのですね.
①の図形に原点が加わった図形です.

よって,

  ① ⇔ r=cosθ+2

    ⇔ ③ かつ r≠0

    ⇔ (x^2+y^2-x)^2=4(x^2+y^2) かつ x^2+y^2≠0

    ⇔ (x^2+y^2-x)^2/(x^2+y^2)=4

です!
最後の式は,元と同じ図形を表しているのですね!

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