yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

n倍角の公式を表す多項式(チェビシェフの多項式)の係数の秘密④

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チェビシェフの多項式T_n(x)は,2次以上の部分は,すべて係数が偶数になっているのですね!
ただし,ここに書かれているのはn≦6だけですから,n≧7でもそうなっているのかは分からない!
この法則は,本当にずっと続くのでしょうか?

さて,以下,T_n(x)を略してT_nと書きます.

  T_7=2x×T_6-T_5

において,2x×T_6は係数がすべて偶数になります.
また,T_5のx^2以上の項も係数がすべて偶数です.
よって,T_7も,x^2以上の項は係数がすべて偶数です!
これがずっと続くことは,数学的帰納法で証明できそうです!

もう少し詳しく見ていきましょう!

 T_nにおいて,x^k (k≧2)の項の係数は,2^(k-1)の倍数になるのではないか?

です.

  T_5=(2^4)×x^5-10×(2^2)×x^3+5x

  T_6=(2^5)×x^6-6×(2^3)×x^4+9×(2)×x-1

なので,

  T_7=2x{(2^5)×x^6-6×(2^3)×x^4+9×(2)×x-1}

     -{(2^4)×x^5-10×(2^2)×x^3+5x}

です.
x^k (k≧2)の項の係数は,2^(k-1)の倍数になりますね!
これがずっと続くことは,数学的帰納法で証明できそうです!

ということで,チェビシェフの多項式

  T_2m(x)=(2^(2m-1))×x^2m

       +(x^kの係数は2^(k-1)の倍数,kは偶数)

        +(-1)^m

  T_(2m+1)(x)=(2^(2m))×x^(2m+1)

         +(x^kの係数は2^(k-1)の倍数,kは奇数)

          +((-1)^m)×(2m+1)x

となるのです!

私自身,これを発見したのはつい最近でした.
有名な事実なんでしょうかね?


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