ド・モアブルの定理と二項定理で,n倍角の公式を作るのは,けっこう有名かも知れませんが,これから内容を発展させていくなかで触れておきたいな,ということで.
(cosθ+i sinθ)^2=cos(2θ)+i sin(2θ)
と
(cosθ+i sinθ)^2=(cosθ)^2+2i sinθcosθ-(sinθ)^2
において,実部は等しいから
cos(2θ)=(cosθ)^2-(sinθ)^2
です.(cosθ)^2+(sinθ)^2=1を利用してcosθだけの式にすると
cos(2θ)=(cosθ)^2-{1-(cosθ)^2}=2(cosθ)^2-1
となることが分かります.だから,
T_2(x)=2x^2-1
とおくと,
T_2(cosθ)=cos(2θ)
となるのです.
同じことを6乗でやってみると・・・
まず,ド・モアブルの定理は
(cosθ+i sinθ)^6=cos(6θ)+i sin(6θ)
で,二項定理は・・・
パスカルの三角形
1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
1 6 15 20 15 6 1
から係数が分かって,
(cosθ+i sinθ)^6
=(cosθ)^6+6i(sinθ)(cosθ)^5-15(sinθ)^2(cosθ)^4
-20i(sinθ)^3(cosθ)^3+15(sinθ)^4(cosθ)^2
+6i(sinθ)^5(cosθ)-(sinθ)^6
です.実部を比較し,(cosθ)^2+(sinθ)^2=1を用いると
cos(6θ)
=(cosθ)^6-15{1-(cosθ)^2}(cosθ)^4
+15{1-(cosθ)^2}^2(cosθ)^2-{1-(cosθ)^2}^3
=32(cosθ)^6-48(cosθ)^4+18(cosθ)^2-1
となるのです.
よって,
T_6(x)=32x^6-48x^4+18x^2-1
です.
今回は,漸化式を使わなくても,このような方法でn倍角の公式を導ける,という話でした.
複素数との別の関係性も,また後日,お見せしますね!
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