多くの学校で採用いただき、感謝です。
【統計】のオススメ書籍
この本,高校数学で統計を教えるための基礎固めとして,とても良いです!
(有名な東大の本や私の本よりも断然よいです!)
知りたい証明や有用な例題がテンコ盛りです.
ちゃんと「数学」なのが良いと思います.
例えば,連続型確率分布での「和の期待値」の法則を,離散型と同様,でごまかすことなく積分で説明するのは,案外,難しいんですよね.
独立でないと,「畳み込み」にならないし・・・
独立な3つの確率変数X,Y,Zの積の分散を求める公式を「作る」ことはできますか?
(覚える必要はない!)
そういう数学的な楽しみを統計でも味わえると思います.
※誤植のリストを著者の皆本先生が公開されていますので,必要に応じてご参照ください:
その後に私の本を読んでもらえると,私の理論解説の拙さが明確になります.
でも,その他の部分の面白さはより伝わるかも.
セットでお願いします(笑)
👇
x=1は「xが1である」ということなのか?
場合によりますが,「xに1を代入したときにのみ真になる条件だ」という意味であって「xが1である」という主張ではないと考えることもできます.
詳しく書いてみます(長い・・・).
xについての2次方程式x^2+x-2=0を解くと
x^2+x-2=0
(x-1)(x+2)=0
x=1,-2
となります.
「xは1か-2なんですよね?」
そう生徒に聞かれたら,何と答えますか?
これが実話で,この文章のモチベーションです.
かなり難しいと思います.
実は中1に言われて,何と説明して良いか,けっこう大変でした・・・
結論は,「違うよ」です.
「未知数」と「変数」の違いと言えるのかも知れません.
ここでも大事になるのは,「命題」と「条件」の違いです.
先日書いた「x=1,-2における“,”は,
・数をつなぐものと見たら「と」
・条件をつなぐものと見たら「または」
です.つまり,順に
「xとして適するものは1と-2である」
「xは1であるか,または,xは-2である」
に対応します.
どっちでも構わないと思います.
大事なことは,
x^2+x-2=0 …①
を成り立たせるような数が「1と-2」であり,条件①を要素の列挙として書き直すと
x=1またはx=-2 …②
という条件②になるということ.
「解く」とは,「解全体の集合」を求めること!
「解」とは,「代入したときに方程式を成り立たせるもの」.
まさに,方程式を「条件」として見ていますよね.
(条件は,変数に数値を代入するごとに命題になるもの)
(命題は,真偽の確定する数学的な文や式)
なお,解全体の集合のことも「解」と言うのが,少しややこしいです.
つまり,「解く」というのは「①⇔②」を考えている“だけ”だということ.
・xに1を代入したときは①が成り立つ
・xに-2を代入したときは①が成り立つ
・xにその他の数を代入したときは①が成り立たない
が分かっただけです.
①も②も「命題」ではなく「条件」ですから,そのままで真偽が決まるものではなく,具体的な数値をxに代入することで命題になるものです.
①がx=2で成り立たないのは,x=2で②(つまり「2=1または2=-2」)が成り立たないからです.
だから,「①が真」と分かれば,解いているおかげで,「②も真」と分かり,そんなxは1か-2しかなので,xは1か-2です.
例えば,「ある長方形は,タテがヨコより1長く,面積が2である.ヨコは?」という問題で,ヨコの長さをxと表すと,タテがx+1で,面積を考えると
x(x+1)=2
が成り立ちます.これは
x^2+x-2=0 …①
なので,解くと
x=1,-2 …②
です.長さは正だから
x=1
です.
「ヨコは①を満たす」
「①は②である」
よって
「ヨコは②を満たす」
となり,「ヨコの長さは1である」が確定します!
「ヨコは①を満たす」が分かっているからです.
そして,「ヨコ=1」というのは「命題」で,しかも「真」となると思います.
「解く」は「2次方程式を同値な条件で書き換えること」により,「数値の列挙」の形にすることです.
加えて,「何かが2次方程式を満たす」ということが分かっていれば,解いた結果を用いて,その「何か」を求めることができるのです.
だから,解いた段階では「xは1,-2」とは言えません.
xは条件として表現するための「変数」だからです.
改めて考えると,「未知数」というときは,「ヨコ」のように,「求めたいものがあって,それを文字で置いている」ということなのかな,と思いました.
未知数のときは「ヨコ=1」で,これは命題(真).
変数のときは「x=1」で,これは条件(xに1を代入したときのみ真になる式).
あぁ,これを如何にして中1に伝えようか・・・
andでつなぐもの ~「数」と「条件」と「集合」と~
数学における「and」には,2種類の訳「と」と「かつ」があります.
x=1,2の“,”は「and」ですが,これは
「xとして適するのは1と2である」
なんでしょうか?それとも,
「x=1かつx=2である」
なんでしょうか?
文脈的には前者なのですが,そのように空気を読まないといけない(生徒に読ませないといけない)のでしょうか?
1.数をつなぐand=「と」
「1 and 2」は1と2の併記である.
例えば,
A={1,2}
において,「集合Aの要素は1と2である」となる.
こういうとき,数の間には“,”を打つ.
「Aの要素は「1と2」である(1 and 2)」となる.
これが「x=1,2」における“,”が「and」であるという意味である.
一方,「xがAの要素である」と言うときは,「xは1または2」である(1 or 2?).
同じことを説明するのに「1 and 2」と「1 or
2?」が混在しているように見えるかも知れない.
しかし,「xは1または2」は,正確には「x=1またはx=2」である(「x=1または2」と略すこともあるようだが,私は避けている).
2つ条件「x=1」と「x=2」を「または」でつないでいる.
「x=1またはx=2(or)」と「xとして適するのは1と2である(and)」が同じ意味になるのである.
orとandが同じ?
いやいや.
後者は「数」を「and」でつないでいる.
条件におけるandの訳である「かつ」ではなく,「と」というand本来の訳になる.
数学におけるandは「かつ」だ,とは必ずしも言えないのである.
ということで,条件の話へ.
2.条件をつなぐand=「かつ」
例えば,実数xに関する条件x>0とx≦1をandでつなぐと,
x>0 and x≦1
は
x>0 かつ x≦1
となり,つまり,
0<x≦1
を表す.
「2つの条件を連立して得られる条件」という意味で「and」が用いられ,日本語では“かつ”と書かれる.
なお,
x>0 または x≦1
は
x>0 or x≦1
と表され,条件としては
xは実数
と同じ意味になる.
数では「と」と訳したandが,条件では「かつ」となる.
そして,数での「と」は,条件での「または(or)」に対応しているのである.
3.集合をつなぐand=「と」だが・・・
実数全体の集合Rの部分集合として,
A={xは実数|x>0}
B={xは実数|x≦1}
を考える.
A and Bと書くと,これは何を表すだろう?
これでは確定しないと考えるのが良い!
「AとBの和集合」かも知れないし,「AとBの共通部分」かも知れない.
それぞれ
union of A and B
intersection of A adn B
であり,いずれもA and Bである.
記号では順に,
A∪B A∩B
である.
4.つまり・・・
andでつなぐのが,
・数のときは「と」
☞a and b and c and …で,どんどん個数が増える(要素の付加)
☞条件で言う「または(or)」に相当
・条件のときは「かつ」
☞P and Q and R and …で,どんどん厳しい条件に(条件の強化)
☞P or Q or R or …では,どんどん条件が緩和される(要素が増える!)
・集合のときは「和集合」「共通部分」
☞「と」だけでは意味が確定しない!
-12の1の位の数は? -1.2の小数第一位の数は?
混乱こそが,想像力と創造力を育むはずだ!
何か進展があったら,続きを書こうと思います.
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【確率に関する妄想】 サイコロの7の目が・・・の確率
「だって,7の目は無いじゃん」を認めたら楽になりますよ,という話です.
(真面目な補足も最後に追記しておきます)
『1~6までの目が等確率で出るサイコロを振るとき,7の目が出る確率は?
① 0
② 定義されない
どっち派ですか?』
数学の先生の多くの方は,①派でした.
(私は②なんですけど・・・)
私は,「出目が7である確率」なら,0と迷わず答えます.
存在する「出目」というものが,7という数に「ならない」,だから何も問題ない.
でも・・・
存在しない「7の目」が主語になると??
「目」に対してあり得そうな動詞「出る」「出ない」が付くと,「7の目が出ない」が必ず「起こる」気がして,余事象を考えても,何も気にならない.
でも,「ご飯を食べる・食べない」に変わると・・・
どっちの確率も1だ,と思うこともできるかも知れませんね(笑)
『1~6までの目が等確率で出るサイコロを振るとき,7の目が出る確率は?』
私の結論は,「問題不成立」です.
ちなみに・・・
①とするには,拡大解釈することで実現できます.
例えば,試行を変える.
「整数を1つ選ぶのに,サイコロを振って出目を使う」という試行において,
1~6は確率1/6で選ばれ,他の整数が選ばれる確率は0.
本来の試行では考えにくいときに試行を変えるのは,よくやることです.
(「区別がつかない赤玉2個,白玉3個が入った袋から,2個を選ぶ」とき,区別をつけても同じ確率が求まるから,「玉に区別をつけて選ぶ試行に変える」)
上で,「私は,「出目が7である確率」なら,0と迷わず答えます.」と書きました.
これは,本来の試行での全事象は
{1が出る,2が出る,3が出る,4が出る,5が出る,6が出る}
ですが,確率変数Xとして「出目」を考えるとXの取りうる値は
{1,2,3,4,5,6}
です.
X=7となる確率は0,と述べても全然気にならない.
でも,架空の「7の目」を主語にすると・・・述語が「ご飯を食べる・食べない」になるとイミフメイなことに.
ご飯の話は,拡大し過ぎなんでしょうか(笑)
真面目な話.
拡大解釈するとしても,その方法はいくつもあります.
同一視,試行の変更,全事象の変更,全事象の外にある大きな集合を想定,などなど.
これらを総合すると,おそらく,こうなります.
あらゆる試行を考えて,その結果として起こる出来事をすべて集めて,「究極の全事象」を作ります.
そこで考えるのが「究極の試行」となるわけです.
あらゆる試行,それに伴う全事象や事象は,「究極の全事象」の部分集合となっており,あらゆる確率は「究極の試行」における“条件付確率”と見なすことができます.
【注】
確率0の事象が大量発生,と見ることもできますが,「同様に確からしい」という概念が消えてしまうので,条件付確率が良いかな,と思います.
すると,「7の目が出る」は,8面体サイコロの試行としてあり得るから,「究極の全事象」には含まれています.
そう考えると,「サイコロを振る試行を考えるとき」が,条件付きっぽさを醸し出しているように見えてきます.
「そんな大きな枠組みで確率を考えている」と見なすか,「だって,7の目は無いじゃん」と思うか(笑)
でも,「究極の全事象」を考えると,“集合全体の集合”などの集合論のパラドックスを引き起こすようなものが含まれてしまうような気もします・・・
∴「だって,7の目は無いじゃん」を認めたら楽になりますよ
もともとは,初心者向けの空事象の例として「サイコロを振って7の目が出る」は適当だろうか?と考えていたのですけど,その面影もなくなりました(笑)
でも,面白かったからOK!?
私の妄想にお付き合いくださった奇特なお方,ありがとうございました.
<補足>
これは,確率ではないので,そもそも完全に無意味です.
サイコロを投げる試行での全事象は{1の目が出る,…}ですから.
そして,事象は,これの部分集合で,確率は事象に対して定義するものですから.
無理やり確率にするなら,上に書いた「究極の全事象・試行」をベースに条件付確率を考えることになると思います.
だとしたら,1の目がご飯も7の目がご飯も,ぜんぶ0です.
食べても食べなくても,ぜんぶ0です.
これを,命題のはなし(命題p,qで,pが偽の命題のとき命題「p→q」は真)と関連付けようとされるかも知れません.
しかし,それはできないと思います.
つまり,象徴的に,
「サイコロの目がご飯を食べる→どんな確率も1である」
「サイコロの目がご飯を食べる→どんな確率も0である」
「サイコロの目がご飯を食べる→どんな確率も2である」
などがすべて真である,という風に考えるのは,ちょっと無理があると思います.
あるいは,「7の目がご飯を食べる」を「7の目が存在するならば,7の目はご飯を食べる」という命題であるとみるのも好ましくないと思います.
これを認めると面白いですが,すると「7の目が出ない」確率は1になるので,私としてはウェルカムではありますが(笑)
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正三角形くらい1つの式で表せてこそ,大人です(笑)
※修正版です.
もっとシンプルにしたいのですけど,なかなか・・・
これを考えていて,今日のある予定に遅刻した(笑)
まず分母は,単位円の外(x^2+y^2>1)に図が来ないようにするためのものです.外では
0<1/(x^2+y^2)<1 ∴ [1/(x^2+y^2)]=0
です.これを分母に書けば,x^2+y^2>1で分母が0になって,そこではこの式が定義されません.
ということで,正解は①か③です.
①と③の違いは,x-1なのか-(x-1)なのかです.
分子は,積が0であるとはどういうことかを考えると分かります.
A×B=0 は A=0またはB=0
で,図形としては,A=0とB=0の和集合です.
例えばxy=0は,x=0(y軸)とy=0(x軸)の2つの図形の和集合である2直線を表しています.
分子の1つ目2x+1は,これが0のときにx=ー1/2になるようになっています.
後半のyに絶対値が付いているのが見所でしょう.
y≧0とy<0で分けて考えているはずです.
y≧0にある辺を含む直線は
y=-(x-1)/√3 ∴ √3y+x-1=0
です.y<0にある辺を含む直線は
y=(x-1)/√3 ∴ √3y-x+1=0
です.だから,分子には
√3|y|+x-1=0
がある方がアタリです.
ということで,③でした.
👆
最初,間違えて①と書いていました.申し訳ないです.
スペシャルサービスで,正三角形の極方程式も公開します.
r=1/2{sin(5π/6+[3θ/2π]×2π/3-θ)} (0≦θ<2π)
これも,上と同じ正三角形を表しています!
1+2=3が分かっていない高校生
こう書くと,勉強ができない高校生を上から目線で論じていくのかな,と思われるかも知れません.
そういうのではなく,とってもよくできる高校生でも,1+2=3が含む色んな解釈を考えたことが無い,という話です.
高校生に話したこと.
「1+2と3は等しい」という文章を式で書いたものですが,「1足す2は3」と読んでしまうから,視野が狭くなってしまうのかも知れません.
① ● ●● を集めると ●●●
② ●●● を分けると ● ●●
これらは,1も2も3も単なる数字と見て計算結果を述べているものです.
このイメージだけで止まっていたら,数学の意味が分からなくなってしまうのだと思います.
何となくで問題は解けても,本当には分かっていないのかも知れません.
③「自然数xについて,1+xとは,xの次の自然数のことである」という“次”の定義において,xが2の場合のことを考えると,
「2の次の自然数は,3である」
とも読める.
ここでは,「1+」という操作を2に施していることになり,①②のような数の対等性は無い.
④「自然数xについて,x+2とは,xの次の次の自然数のことである」という“次の次”の定義において,xが1の場合のことを考えると,
「1の次の次の自然数は,3である」
とも読める.
ここでは,「+2」という操作を1に施していることになる.
このように,「計算結果が等しいという等式」にも,色んな見方があります.
他の見方もあるかも知れません.
ちなみに・・・
「リンゴ4個入った袋が3つ,全部で何個?」を
4×3=12
と書くか,
3×4=12
と書くか,が議論されることがあります.
片方しか許さない(正しいとされるのは,どっちでしたっけ??)というのは,過度な意味づけであるように,私は思います.
「または」も色々
※ [ ]はガウス記号(中に書かれた実数の整数部分)
(1)
nが偶数のとき,n-2[n/2]=0だから,x+y=1
nが奇数のとき,n-2[n/2]=1だから,x^2+y^2=1
表し得る図形は,円x^2+y^2=1と直線x+y=1です.
場合により,「直線または円」です.
文字定数nの偶奇により,「場合分け」されます.
(2)
積が0になるのがどういうときかを考えます.
(x+y-1)(x^2+y^2-1)=0は,条件としては
x+y=1またはx^2+y^2=1
です.図形としては・・・「円または直線」でしょうか?
点(x,y)が,直線上にある,または,円周上にある
ですが,図形が「直線または円」ではないですね.
図形を集合として言うと,
直線x+y=1と円x^2+y^2=1の和集合
です.
「直線と円を合わせた図形」です.
もう一度,整理します.
(1)は,答えが,円 or 直線で,どういうときにどちらになるのかがハッキリわかります.
この「または」は,文字定数による「場合分け」です.
論理の「または」ではありません!
(2)は,答えが,「円 and 直線の“和集合”」で,2つを合わせた図形です.
しかし,点(x,y)がどこにあるかという観点から言うと,円 or 直線です.
この「または」は,「範囲の分割」による表示です.
(これを「場合分け」というとマズイ・・・)
(2)のandを,「かつ」と訳すと失敗しますね・・・
条件をandでつなぐと「かつ」ですが,集合のandは並記であって,「和集合」か「共通部分」かを述べない意味がないわけです.
なお・・・
点(x,y)がどこにあるかという観点で,円 and 直線というと,それは「円 and 直線の“共通部分”」上に点があるということで,(1,0)または(0,1)になります.
再び,(1,0)or(0,1)ですね.
条件として(x,y)=(1,0)or(x,y)=(0,1)です.
集合では,「1点のみの集合{(1,0)}and1点のみの集合{(0,1)}の“和集合”」です.
もしよければ,こちらもご覧ください.
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「そして」は,「かつ」なのか?「または」なのか? - yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー
有理数と無理数の配置イメージ
「有理数」と「有理数」の和は,必ず「有理数」
「有理数」と“無理数”の和は,必ず“無理数”
しかし,
“無理数”と“無理数”の和は,「有理数」であることも“無理数”であることも.
数直線上にある「有理数」と“無理数”.
いずれも無数に存在するけれど,「有理数」は「順に数えることが可能な無限個」しかなく,“無理数”は“どうやっても順に数えられないくらい濃い無限個”もある.
「有理数」を「黒」,“無理数”を“赤”で描くと,数直線は真っ赤になるけれど,実は,無数の黒が点在している.
濃度の比は0:∞.
詳細は,「集合の濃度」というもの.
次の拙著でも扱っているので,もしご存じでなく,興味があれば,どうぞ.
それを強調して,「有理数」が飛び飛びに点在する感じに書いてみました.
最初に挙げた性質の意味は?
何らかの「有理数」のところから右の数直線を見るとき,そこから「有理数」分だけ離れたところに「有理数」がある.
だから,どの「有理数」から眺めても,同じ景色が見える.
一方で,“無理数”のところから右の数直線を見るとき,そこから「有理数」分だけ離れたところには必ず“無理数”があるが,“無理数”だけ離れたところにあるのは「有理数」か“無理数”か分からない!
(上の図では,この辺が不正確・・・申し訳ないです)
つまり,各“無理数”ごとに,そこから眺めた数直線の景色は異なっている!
関連する話として・・・
異なる2つの「有理数」の間には,「有理数」も“無理数”も存在します.
例えば,有理数p,qについて,(p+q)/2は2つの間に入る「有理数」ですし,p+(p+q)/eは間に入る“無理数”です.
(eは自然対数の底2.71……)
では,異なる2つの“無理数”の間には,「有理数」も“無理数”も存在しますか?
区間内すべてが「有理数」であったら,集合の濃度としておかしい.
よって,“無理数”はある!
区間内がすべて“無理数”である可能性は?
集合の濃度的には問題ないけれど・・・
実は,各“無理数”は,何らかの「有理数」の数列の極限です.
例えば,√2は
1,1,4,1.41,1.414,……
という数列の極限です.
2,1.5,1.42,1.415,……
という数列の極限でもあります.
√2のどれだけ近くにも「有理数」が存在します.
大きいものも小さいものも.
同じように,どんな“無理数”でも,どれだけ近くにも「有理数」が存在します.
だから,「有理数」もある!
“無理数”は面白い!!
※拙著の一覧もぜひご覧ください.
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似て非なる問題,真の姿は?
置き換えたら2次式になるタイプだ.
範囲をしっかり考えよ!
置き換えたものが2次方程式でも2次関数でも,ほとんど同じだ!
ってやってしまうのですけど・・・
むっちゃ細かく見たら,ぜんぜん違う問題なのではないか?
※こうやって解くべきだ,と言いたいのではないです!
➤字が小さくてスミマセン.写真の画質も・・・
方程式(つまり条件の処理)では,全体集合の置き換えとしてtの範囲を考えている.
(未知数tに関する「数値としての大小関係」とも見れますが,それなら「範囲」という言葉を使わない方が良いです)
tを求めた後に,元の未知数を求める必要あり.
関数では,定義域の置き換えとしてtの範囲を考えている.
tの関数として処理した後に何かする必要はない!
(「そのときのθを求めよ」とわざわざ書かれているときのみ,求めましょう!)
新時代の数学の解法
4次元って見えますか? -クラインの壺を描く-
クラインの壺ってご存じでしょうか?
時間を自由に行き来できる「輪っか」を,あなたは持っているとします.
その輪っか(円)を過去に向かって投げてみます.
その円はブーメランのように旋回して,過去から現在に戻ってきます.
投げ出したところで円をキャッチします.
(円は時々で適当に大きさが変化していると考えてください)
ただし,戻ってくるとき,円は,“投げ出し”たときの円の内側から返ってきたことにしましょう.
その間に,円が通ったところを全部集めて図にしたものが,「クラインの壺」です!
クラインの壷は、“中”に戻ってきたのを,スタートの円とくっ付けたもの.
(もし円が“外”から戻ってきたとしたら,単なるトーラス(ドーナツの表面の曲面)です)
色が濃いところほど,遠い過去にあると思って見てください.
投げたばかりの円が通ったのが白いところ.
しばらく現在を進んだ後,少し色の濃い部分(ちょっと過去)にいきます.例えば1秒前とか5秒前とか.
そして,一番濃いところ(例えば10秒前)のまでいくと,そこで空間的に旋回して戻りだします.
同時に,時刻も現在方向に戻ってくることにします.
すると,5秒前とか1秒前とか,そういう過去を通って,色が薄くなりながら,円は再び現在(白いところ)に戻ってきています.
内側から戻ってきたとしたら,クラインの壺という表裏の無い変な曲面を構成します.
外側からふつうに戻ってきたら,トーラスをなします(一部は過去を通っている).
これを別の解釈で捉えることもできます.
伸縮自在のゴム製の円柱があるとします.
その円柱を伸ばして,両端の円を貼り合わせます.
すると,ふつうは,ドーナツの表面(“トーラス”という図形)が得られます.
次に,クラインの壺を考えます.
ふつうでない方法で,円柱の両端の円を貼り合わせてみます.
まず,円柱を“4次元空間”に置きます.
この時点でイメージがわかないわけですが・・・
抽象的には,4つの数値(x,y,z,w)で位置を特定するのが4次元です.
解釈としては,((x,y,z),t)という風に,3次元の位置(x,y,z)と時刻tの4数のセットで時空(空間と時間を合わせたもの)を表すこともできます.各点(x,y,z)には(-∞,∞)の各時間における情報も与えることができる,ということです.
また,4つ目の次元を色にとることもあります.例えば,グレースケールの値.3次元空間内の各点には,(-∞,∞)の色を付けることができて,((x,y,z),色)で4次元を表現することもできます.
この2つの解釈を合わせて考えたのが,上の輪っか投げによる説明です.
まず,円柱の【左端】から真ん中くらいまでを「現在の空間」に置いたまま,残り半分を少しずつ過去の空間に送っていきます.
ある過去の瞬間,例えば「10秒前の空間」に残り半分を出現させます.
「10秒前の空間」内で,ゴムを伸ばしていきます.
【右端】が,現在の空間で【左端】がある位置に来るまで伸ばしていきます.
同じ位置でも,時間が違うので,これらは交わっていません!
次に,【右端】を現在に戻していきます.
そうすると,「現在の空間」では【右端】と【左端】が同じところに来るので,そこでくっつけすことができます.
「現在の空間」と「10秒前の空間」に円柱の大部分があります.
では,その間の時刻の空間,例えば「5秒前の空間」には何があるでしょうか?
【右端】を過去に送る過程,現在に戻す過程の2回,この空間を通過するので,円が2つ,あります.
色の濃さが違うところは,4次元空間における,異なる3次元空間に在ります.
過去と現在(白とグレー)は,場所は同じでも,時刻が違うので,交わってはいないんです.立体交差ならぬ,時間交差.
過去にここに住んでいた人と出会ったら怖いでしょ(笑)
このようにスキャンする感じで見ていくと4次元がイメージできるのですけど・・・
伝わったでしょうか?